もののけ姫

スタジオジブリの公式Twitterが、金曜ロードショーの『もののけ姫』の放送に合わせて、視聴者からの質問を募集し、作品の疑問に答えるという企画が行なわれました。



以前にも、『ハウルの動く城』と『ゲド戦記』の放送時に行なわれた企画ですが、そのときは鈴木さんと吾朗監督が回答を担当していました。

今回はなんと、宮崎駿監督をはじめ鈴木敏夫さんやスタッフの方が回答者となっています。
それら、ツイートの内容をまとめました。

Q&A1
Q:「今夜は『もののけ姫』です」
宮崎「ぼくはテレビは観ません!」

Q&A2
Q:「オープニングの『もののけ姫』のタイトル文字の背景の絵は何を表してるのでしょうか。
A:「『朱の土器面に線刻されたふしぎな生物の絵』です(絵コンテト書きより)」

Q&A3
Q:一番作画で大変だったのはどのシーンですか?
A:1番を決めるのは困難ですが、冒頭のタタリ神の襲撃シーンは、CG使用の数カットを除きすべて手書きでタタリ神のヘビのような触手を描いていて、2分10秒に1年7カ月かかっています。

Q&A4
Q:どうしてアシタカは、あんなにカッコいいんですか!
A:宮崎さんは制作中に「オレはいま一世一代の美形を描いてるんだ!」という言葉を残しています。

Q&A5
Q:ヤックルはずっと鹿だと思っていたのですが……人が鹿に乗っているイメージがないのですが……。
A:ヤックルは架空の動物です。「今日では絶滅した、アカシシと呼ばれる大カモシカ」という設定があります。

Q&A6
Q:カヤがアシタカに渡す玉の小刀は、何の素材でできていますか?
A:黒曜石というガラス質の素材で出来ています。アシタカの村では、乙女が変わらぬ心の証に、異性へ贈るものとされるそうです。

Q&A7
Q:タイトルに関してです。『もののけ姫』というタイトルはどのように決まったのでしょう?由来など是非教えてください。
A-1:元々は1980年に宮崎監督が企画した物語の題名です。山猫姿のもののけに差し出された姫をめぐる、「美女と野獣」をベースにした時代劇でした。映画版は内容を完全に変更し、タイトルの意味合いも変わりました。一時「アシタカせっ記」とする案もありましたが、結局変わりませんでした。

A-2:宮崎さんは『アシタカせっ記』を推していましたが、鈴木さんがこっそり、金曜ロードショーで『もののけ姫』というタイトルの特報を放送して確定させちゃいました。

Q&A8
Q:キャラクターごとにモデルはいるのですか?
A:ハッキリとはいませんが、作画中、ジコ坊の描き方がわからないというスタッフに対し、宮崎さんが「(アニメーターの)山森の顔を見てこい!」と言ったそうです。急に顔をのぞかれた山森さんは当惑したとか……。

Q&A9
Q:『もののけ姫』は昔の日本が舞台なのに、武士や貴族が物語の中心でないというのは何度見ても新鮮だなぁと感じます。庶民の暮らしぶりは権力者たちのそれと比べて史料に残りにくいと思うのですが、制作にあたって参考にしたものはあるのでしょうか?
A:直接参考にしたわけではないですが、作品の基本的な構想において大きく影響を受けたものの1つに、歴史学者の網野善彦さんの著作があります。

Q&A10
Q:登場人物たちのお名前はどうやって決めましたか?
由来や決めたときのエピソードあったらぜひお聞きしたいです。
A:サンは「もののけ姫」の初期設定版の主人公「三の姫」から来ています。初期設定版は1980年に描かれており、1993年に絵本になっています(版元品切れ中)。エボシ御前、甲六、乙事主は、宮崎監督の山小屋がある信州の地名から来ています。

Q&A11
Q:サンの顔の赤い化粧(?)は何か意味合いなどあるのでしょうか?
A:あれは入れ墨です。意味は特に明らかにはされていません。

Q&A12
Q:コダマのカタカタッ…という声?は楽器の音ですか?
A:特報のときは「土鈴」を使って。作中ではコダマは木の精霊だから木製のものでいこうということになり「木製のカスタネット」を使って収録しています。

Q&A13
Q:シシ神様は生と死、両方を司ってる神様ですよね。元々、そういう神様が在られるのですか?
A:シシ神についてですが、その姿は宮崎監督が奈良公園で見た鹿が発想のきっかけになっています。1994年秋にスタジオジブリは社員旅行で奈良に行っており、その時に見た印象から生まれました。

Q&A14
Q:舞台となっているシシ神の森は、現在の日本でいうなに県のどこ辺りなのでしょうか?
A:中国地方をイメージしていますが、場所は特定していません。なお、シシ神の森の内部の様子は、屋久島をモデルにしています。

Q&A15
Q:東名高速の愛鷹PAのところを走ると、あ!アシタカだ!と通る度『もののけ姫』を思い出します(^-^)。
静岡の愛鷹とアシタカは何か関係があるのでしょうか?
A:宮崎さん「ちがいます。(キャラクターの)名前はね、なんとなく思いつくんです。なんかいいな……って。あの金太郎の住んでいた山……なんでしたっけ。あれは『足柄山(あしがらやま)』か! これも関係ないです。ガッハッハ」

Q&A16
Q:アシタカがジブリキャラで1番好きなのですが、キャストを松田洋治さんに決めた決め手を教えて欲しいです!
A:宮崎さん「くずれた少年を出来る役者は多いが、凛とした少年を出来るのはこの人しかいない」が大きな理由だったそうです。

Q&A17
Q:タタラ場に子供がいない理由はなんですか?
A:タタラ場は出来てまだそれほど経っておらず、子供はこれから沢山生まれるだろうという時期、という設定です。

Q&A18
Q:エボシ御前は、元々海賊の頭領の妻で、ゴンザはその頭領の部下だったという話を何かで読んだ記憶があるのですが、本当だったのでしょうか?
A:エボシについては、公開当時のインタビューや対談で宮崎さんが、海外に売られ、倭寇の親玉の女房になり、腕を磨いて、男を殺して財宝を奪い、戻ってきたという話を考えたりもした、という旨を話しています。そういう、相当惨憺たる思いを味わってきた人、という事のようです。

Q&A19
Q:当時としては最先端のCGを使ってますが、苦労話はありますか?
A:CGスタッフの席から見えるお宅が、建て替えのために解体され建築がおわり、仮住まいから戻ってきてもまだ同じカットを作業していました(タタリ神の目に矢が刺さるカットです)。

Q&A20
Q:効果音でこだわったところはどこですか?
A:鈴木さん「サンとエボシ御前の戦いです。御前は刀、サンは骨。鍔迫り合いの音。宮さんが俺に任せてくれ、スタッフが用意してくれました」(もうすぐですのでぜひ音に注目してみてください)

Q&A21
Q:アシタカの剣は、侍たちが持っている日本刀と全く形が異なりますが、何という名前の剣なのですか?
A:蕨手刀(わらびてとう)と言います。東日本で、平安初期まで使われていた刀です。

Q&A22
Q:デイダラボッチは夜、その巨体で山を跨ぎ歩いて何をしているのでしょうか。
A:「夜、歩き回って森を育てている。」と、宮崎さんは座談会で述べていました。

Q&A23
Q:山犬モロの声は音響効果が施されているように聴こえますが、担当された声優さんはどなたでしょうか?
A:美輪明宏さんです。音響スタッフいわく、加工はしていない(多少のエフェクトはシーンによってはかかっているそうです)美輪さんは『ハウルの動く城』で、荒れ地の魔女も演じて下さっています。

Q&A24
Q:サンがアシタカに食べさせていた、肉の干したような食べ物は何の動物のお肉なんでしょうか?
子どもの頃の私はよくビーフジャーキーで真似してました(笑)
A:絵コンテには「干肉」としか書いてありませんでした……。

Q&A25
Q:モロのしっぽの先が2つに分かれているのはなぜですか?
A:モロのしっぽは先が分かれているのではなく2本あります。九尾の狐とか、キングギドラとか、特別な力を持つ動物等のしっぽが複数あったり分かれていたりするのは昔からあることのようですね。

Q&A26
Q:作中ではモロの君が「少しは話がわかるやつが来た」などのセリフがあり、長い付き合いがあるのがわかる場面があります。モロの君と乙事主はいつどこでどのように初めて会ったのでしょうか?
A:詳しくはわかりませんが、宮崎さんはアフレコ時に、美輪明宏さんに色々説明する中で、モロと乙事主は昔いい仲だったが100年前に別れたと思って演じてほしい……と話していたそうです。

Q&A27
Q:モロは何年くらい生きているんでしょうか?
A:300歳という設定です。ちなみに乙事主は500歳です。(年の差カップル……)

Q&A28
Q:タタラ場に貸し出されたジコ坊の部下である石火矢衆って元々はどこに住んでて何をしている人達ですか? 一説だと京都の寺院で働いてるとは聞いたことありますが。
A:「シシ神退治を条件に、師匠連という謎の組織からエボシに貸し与えられた傭兵。明から輸入した石火矢を使い、もののけと戦う。鉄や米の運搬時の護衛。タタラ場全体の警備も務める。総勢40名」という設定です。(パンフレットより抜粋)

Q&A29
Q:「生きろ。」というキャッチコピーの経緯が知りたいです。
A:作者は糸井重里さん。10年近くジブリ作品のコピーを担当、それまではすんなりと出来ていたのに本作では難航。1カ月以上、鈴木プロデューサーとFAX(当時はまだ通信手段の主流でした)のやり取りを繰り返し、ついに「生きろ。」が生まれました。ちなみに最初の案は「おそろしいか。愛しいか。」など。

Q&A30
Q:制作中・アフレコ中に大変だったこと、印象に残っていることはありますか?
A:鈴木さん「「森繫さんは自分のペースでセリフを話す人でした。全部入りきらないので、その場で台詞を削りました」

Q&A31
Q:アシタカが森を出る朝に荷物に添えられていた、葉っぱで包まれていたお弁当らしきものの中身が気になります!何が入っていたのでしょうか?!
A:「木の葉につつんだトチもちと 木の葉のポシェットに入れたおそらくクリの実」だそうです。

Q&A32
Q:エボシ御前は手段を選ばない冷酷な人間であると同時に、 ハンセン病患者や女性たちを差別せず仕事を与える、「人望の高いリーダー」としての側面も強いように感じます。 宮崎監督がエボシというキャラクターにどのような思いを込めているのか、改めてお伺いしたいです。
A:宮崎さんは公開当時のインタビューや対談で「エボシ御前という人物は好きです、彼女は現代人そのもので、目的と手段とをはっきりとわきまえて、目的のためにある手段を平気で使いながら、でも同時にピュアなものを持ち続けている。行動力と理想をはっきり持っている人間です」と語っています。

Q&A33
Q:『もののけ姫』の世界観や、出てくる動物・ヤックル等は、宮崎駿さんの絵物語「シュナの旅」(徳間書店)が原点だと聞きます。その「シュナの旅」と、その原話、『犬になった王子 チベットの民話』も合わせて、関連性の詳細をお教え下さい。
A:「シュナの旅」、あとがきもあわせてぜひ読んでみてください。

Q&A34
Q:鈴木さんが『もののけ姫』で一番印象に残っているシーンは?
A:鈴木さん「それどころじゃなかった。笑」

Q&A35
Q:ジコ坊は結局(本当は)、敵(悪人)なんですか? 味方(善人)なんですか?
A:ジコ坊は単純な色分けが出来ない、独特なキャラクターです。もっとも本作は、善悪を簡単には言えないキャラクターがほとんどですね。それが本作の特徴のひとつだと思います。

Q&A36
Q:ジコ坊の雑炊のレシピを教えて下さい。
A:アシタカの買った米、自前のお味噌、野草だと思います(山森さん談。スタッフは雅なお椀がほしいです)。

Q&A37
Q:制作の舞台裏のドキュメンタリーってどういう流れで作ることになったんですか?
A:本作はこれまでにない期間と製作費をかけ、かつてないスケールの作品を目指すことになったので、メイキングも本格的な物を作るべく、テレビ番組だけでなく、ドキュメンタリー作品の制作も視野に入れて取材・制作が行われました。こうして出来たのが「『もののけ姫』はこうして生まれた。」です。

Q&A38
Q:タタラ場の人たちが籠城しているシーンで、おトキが病者の女性から何かを手渡されて食べていますが、あれは何を食べてるんでしょうか? 木の実か何かのように見えますが……。ジブリ飯ファンとして気になります。
A:絵コンテのト書きには「コロ柿」と書いてあります。干し柿ですね。

Q&A39
Q:このドロドロの名前はなんですか?
A:「ドロドロ」です。(動きのイメージは「コールタールのように」だったそうです)

Q&A40
Q:シシ神から呪いを治してもらったのに、ややアザが残っているように見えるのは何故?
A:痣が薄く残っているのは、呪いが完全に消えてはないからです。宮崎さんは座談会で「今の若者たちは皆、ハッピーエンドにむしろ納得しない。痣が完全に消えたんじゃなくて、いつまた再発するかわからないものを抱えて生きていくんだというほうが、本当らしく感じていると思います。」と述べています。

Q&A41
Q:最後に現れるコダマが後のトトロという話を聞いたのですがその様な設定はありますか?
A:宮崎さんが制作中に、そのようなことをスタッフに話したことはあるようですが……。


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