風立ちぬ

『風立ちぬ』は公開当初、宮崎駿監督の遺言という見方もされていました。
宮崎監督はこの映画の裏テーマとして、「仕事とは何か」を問いかけていたといいます。カプローニというイタリア人が出てくるんですが、彼が何度も「力を尽くして生きなさい」と繰り返します。



この言葉は、旧約聖書から引っ張ってきたもので、元は「すべて人の手にたうることは力を尽くしてこれを成せ」というもの。宮崎監督はこの言葉に感化され、仕事に対する向き合い方を描いたのじゃないかと思います。

また、本作で動画検査を担当した舘野仁美さんは、二郎が仕事をしている設計室は、アニメーションスタジオのイメージであると語っています。

色んな人が色んな才能を持ち寄って作る素晴らしさ

――設計室のシーンなんかは一人一人どんな仕事をやっているのか想定しなければ描けなかったでしょうから、余計大変だったのではないですか。

舘野:
あそこはそのままアニメーションスタジオのイメージですね。で、あそこにいる二郎は宮崎さん。宮崎さん自身が、皆と働いている姿を描きたいという想いがあったのではないかと強く思いました。
それぞれの持ち味は皆違っていても、色んな人が色んな才能を持ち寄って作ることの素晴らしさを宮崎さんはご存じなんです。たぶん東映動画の時代から。

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