ついに、『千と千尋の神隠し』のBlu-ray化が発表されました。発売日は7月16日、価格は7,344円。
なお、同日には宮崎駿監督の作品をまとめたBlu-ray BOX「宮崎駿監督作品集」や「風立ちぬ」のBD化、「ルパン三世 カリオストロの城」の再BD化なども発表されている。



本編の収録時間は約124分。片面2層ディスク1枚。映像特典として、絵コンテを本編映像とのPinP(子画面表示)で収録。アフレコ台本、予告編集も収録する。

映像は最大36bitの高階調映像を実現するパナソニックのマスターグレードビデオコーディング(MGVC)に対応。対応機器を用いる事で、最大36bitの高階調映像を再生できる。

なお、「千と千尋の神隠し」のBDは、BD-BOX「宮崎駿監督作品集」にも収録されるが、BOX収録のディスクは単品版とは異なり、特典映像を収録していない。それによって転送レートも異なっているが、「特段にレートを上げているわけではなく、ほぼ変わらない」という。ジャケットは異なり、単品版はシンプルなシルエットのデザインだが、BD-BOXに収録されるのは映画公開時のキーアートを使ったものになる。

 

千と千尋の倍返し――鈴木敏夫プロデューサー

 ことばの恐ろしさについて書く。ひとことが運命を変えることがある。2000年の秋くらいだったと思う。赤坂を歩いていて友人の藤巻直哉さんに出くわした。のちに「崖の上のポニョ」を歌って、博報堂DYMPの社員でありながら、暮れの紅白にまで登場したあの藤巻さんである。

 おたがい時間があったのだろう。ふたりでお茶を飲んだ。翌年の夏に公開する「千と千尋の神隠し」に話題は及んだ。藤巻さんにとっては他人事だったからだろう。興行の見通しについて無責任にこう言い放った。

 「ほっといても大ヒットしますよ。みんな、言ってますよ。『もののけ姫』の半分は行くと」

 このひとことがぼくに火を付けた。無性に腹が立った。なんだ、みんあ、そんな風に思っているのか。関係者は顔を突き合わせると、みんな、真剣そのもの。おくびにも“楽観”は口にしない。しかし、藤巻さんの話を聞くと、ぼくのよく知っているこの作品の当事者たちまでが、楽観気分でそう話していると言う。ちなみに、宮崎駿の前作「もののけ姫」は、邦画に於ける興業の日本記録を作ったばかりだった。

 この日を境に、ぼくの作品に取り組む姿勢が大きく変わった。ぼくは鬼と化し、がむしゃらになった。半分というなら、倍を目指す。昨今、流行の言葉でいえば“倍返し”だ。やるべきことは二つしかなかった。まずは、宣伝の内容。普通なら、千尋とハクの恋物語だ。違うと思った。千尋とカオナシの物語だ。監督という人種は、往々にして、自分が何を作っているのか、分からないときがある。ぼくがカオナシで宣伝を始めると、宮崎駿が怪訝な顔をして僕の前に現れた。

 「鈴木さん、カオナシで宣伝をやるの?」

 ぼくは事も無げに答えた。

 「千尋とカオナシの物語ですから」

 さらに、映画館の数と宣伝量を「もののけ姫」の倍にする。ぼくは、配給の責任者に連絡を取った。

 そして、2011年夏、「千と千尋」は、「もののけ」の記録を大きく更新、不滅の記録を作ることになる。それは、ぼくの予想を超えた、信じがたい数字だった。

 「千と千尋」は、なぜ、不滅の記録を作ったのか? 作品もよかった。宣伝もうまく行った。興行の大きな努力もあった。すべてうまく行ったが、藤巻さんのあのひとことが忘れられない。

千と千尋の神隠し
<映像特典>
絵コンテ(本編映像とのピクチャー・イン・ピクチャー)/アフレコ台本/予告編集

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