ジブリ美術館

三鷹の森ジブリ美術館にて、5月25日に開幕した新企画展示『君たちはどう生きるか』展の第二部「レイアウト編」を観てきました。



今回の企画展は三部制で、前回の第一部は「イメージボード編」、今回の第二部は「レイアウト編」、そして次回の第三部は「背景美術編」という構成になっています。

ジブリ美術館

それで今回の「レイアウト」というのは何かというと、ざっくり言ってしまえば絵コンテの次の工程と言えば良いでしょうか。

監督の描いた絵コンテをもとに、各場面の設計図を描いたものがレイアウトで、作画や背景美術の前段階の工程となります。

ジブリ美術館

若かりし宮﨑駿監督は、このレイアウトの天才と呼ばれていました。

高畑勲監督作品の『アルプスの少女ハイジ』や『母をたずねて三千里』では、宮﨑監督が全話に亘り「場面設定・レイアウト」を担当しました。
ちなみに、『赤毛のアン』も1~15話まで担当しています。

ジブリ美術館

当時、どれだけの仕事をしていたか、世間に認識されていなかったかもしれませんが、昨今では「スタジオジブリ・レイアウト展」の開催もあって、レイアウトの重要性が広まっているでしょうか。
高畑監督は、レイアウトマンのことを演出の「片腕」や「ベターハーフ」と表現しています。

宮﨑監督がアニメーターから監督に転身して大成したのは、若手時代に演出の片腕として鍛えられていたことも大きな要因じゃないでしょうか。
特別な才能があったのは言うまでもありませんけど、その才能を磨く場があったことで、大きな飛翔へと繋がったと考えられます。

ジブリ美術館 ラピュタの紋章

閑話休題。
そんなわけで、今回の『君たちはどう生きるか』展では、そんな映画の設計図が計206点も紹介されています。見ごたえばっちり。
本作でレイアウトを手掛けたのは、各場面を担当した作画陣によるものです。
ジ・アート本に収録されていないレイアウトも、たくさん展示されています。

ジブリ美術館

宮﨑監督が直接描いたものもあるそうなのですが、予習をしていなかったので、ちょっと見分けがつきませんでした。
ちなみに、レイアウト用紙の右下にマーカーでラインが入っているものが数点あります。これは、オレンジが宮﨑監督で、グリーンが作画監督の本田雄さんが修正を入れたものだそうです。

ジブリ美術館

今回展示されたレイアウトは直筆の原本で、その筆圧であったり線の勢いなんかも見て取れます。
何度も描き直したのか、しわくちゃになったものもあったりして、映画制作にかける思いのようなものだったり、手描きのエネルギーが伝わってきます。

ジブリ美術館

また、今回も宮﨑監督が描いたパノラマボックスが展示されていて、ワラワラがびっしりと集結したインパクトのあるものです。映画では見せなかったような、トトロのような表情のワラワラもいました。

ジブリ美術館

現在、宮﨑駿監督は今回展示されたものとは別のパノラマボックスも作っているそうで、宮崎吾朗さんが「過去作ばかりだから次回作のやつも作ってよ」と言ったところ、駿監督は「今それを作っているんですけど」と答えたことが明かされています。それが実際に新作映画となるのかわかりませんが、昔懐かしい冒険活劇風だそうです。お披露目を楽しみ待ちましょう。

グッズ

ジブリ美術館グッズ

今回の展示に合わせて、新たに登場したグッズや再版されたものも、いくつかありました。
『君たちはどう生きるか』グッズからは、インコマンの土笛が登場。青・緑・赤・黄の4種が発売されました。各9,900円(税込)なり。

また、前回の発売時に大人気だった『星をかった日』のノートも再版されました。デザインは若干変更されていますが、テイストはそのままです。

ジブリ美術館 カフェ麦わらぼうし

カフェ「麦わらぼうし」では、新メニューの「カレー風味のチキンサンド・木苺ソースがけ」「カラフルなカポナータ」「柑橘とクリームチーズのひんやりブッセ」が発売されています。

それから、美術館に入ってすぐの中央ホールには、先日カンヌ映画祭で受賞したばかりの「名誉パルムドール」のトロフィーが、何の説明もなく置いてあるのでお見逃しなく!

三鷹の森ジブリ美術館『君たちはどう生きるか』展
第二部 レイアウト編

会期:2024年5月25日(土)~2024年11月10日(日)