スタジオジブリ パンフレット

スタジオジブリ作品は、現在・過去・未来と様々な時代を描いています、それぞれの作品でどの時代を描いているのか、明確にはわからないものもあります。

そこで、様々な資料集からインタビュー記事や、作中の建造物等々から推測して、ジブリ作品で描いている時代を調べてみました。



風の谷のナウシカ

風の谷のナウシカ
アニメーション版ではオープニングに表示される、「巨大産業文明が崩壊してから1000年」という説明しかありませんが、漫画版の説明と合わせると年代がわかります。
漫画版では、産業革命から1000年後に文明が崩壊し、そこからさらに1000年経った世界とされているので、西暦3800年頃となります。

天空の城ラピュタ

天空の城ラピュタ
パズーの父親が撮った写真には1868年の表記があるので、そこから遠くない時代であることがわかります。
19世紀末、産業革命後の1800年代後半と思われます。

となりのトトロ

となりのトトロ
『となりのトトロ』の作中に登場するカレンダーや、電報の消印は年代がバラバラです。
制作時は時代設定を定めず、昭和30年代初頭と大枠で制作されたものと思われます。
しかし、宮崎駿監督は後のインタビューで「1953年(昭和28年)」の設定だったと話しています。

火垂るの墓

火垂るの墓
『火垂るの墓』は、野坂昭如さんの短編小説が原作で、実際の戦争体験がベースとなっています。
太平洋戦争下のもと、神戸空襲や終戦を迎える1945年(昭和20年)の出来事が描かれています。

魔女の宅急便

魔女の宅急便
『魔女の宅急便』は正確な時代設定がありませんが、物語に登場する車やテレビなどから、1930年代後半から1940年代初期と推測することができます。
また、宮崎駿監督は、「二度の大戦を経験しなかったヨーロッパ」とも発言しているため、ヨーロッパでの開戦となった1939年から、終戦の1945年あたりを想定していると思われます。

おもひでぽろぽろ

おもひでぽろぽろ
タエ子の少女時代は1966年の東京が想定され、大人になったタエ子の物語は1982年という設定です。

紅の豚

紅の豚
宮崎駿監督はインタビューで、「年代は多少ごまかしてる部分はある」としながらも、1930年にしたと発言しています。
第1次大戦から第2次大戦が始まるまでの戦間期の物語として描いています。

海がきこえる

海がきこえる
本作は、作品内や資料等で時代設定は発表されていません。
ただ、登場する建物等から、作品が発表された1990年代初頭が想定されたものと思われます。

平成狸合戦ぽんぽこ

平成狸合戦ぽんぽこ
作中に登場する年号は「ぽんぽこ31年」ですが、人間の世界では昭和40年代にあたります。
高畑勲監督は『アルプスの少女ハイジ』制作時に、多摩にあるスタジオに通いながら、多摩丘陵がニュータウンに開発されていく光景を目の当たりにし、衝撃を受けます。そのときの出来事を、ファンタジー要素も交えながらドキュメンタリーとして描いています。

耳をすませば

耳をすませば
本作には、1994年9月と10月のカレンダーが登場するため、1994年であることがわかります。

もののけ姫

もののけ姫
『もののけ姫』の時代設定は、宮崎監督のインタビューや資料集等で室町時代後期であることが明かされています。
正確な年代は明記されていませんが、1570年頃と思われます。

ホーホケキョ となりの山田くん

ホーホケキョ となりの山田くん
本作には、明確な時代設定が記されていません。
作中には携帯電話が登場しないことや、会社ではワープロを使用していることから、1980年代後半から1990年代前半が想定されていると思われます。

千と千尋の神隠し

千と千尋の神隠し
本作では、荻野家が乗っている車が、アウディA4クワトロであることから、1996年以降の時代であることがわかります。
また、作中で千尋の父親が、不思議の町を「バブル期に建てられたテーマパークの残骸」として受け止めていることから、バブル崩壊からだいぶ時の流れた世界であることがわかります。
おそらく、映画が公開された2001年近辺を想定しているものと思われます。

猫の恩返し

猫の恩返し
作中に登場するひろみが使用している携帯電話がガラケーだったことから、劇場公開時と近い2002年頃と思われます。

ハウルの動く城

ハウルの動く城
19世紀末のヨーロッパ、魔法と科学が混在する世界。というのが、この物語の時代背景です。
正確な年代はわかりませんが、現実世界でいえば第一次世界大戦ともつながる、帝国主義が牙をむいていた時期ではないでしょうか。

ゲド戦記

ゲド戦記
『ゲド戦記』は現実世界ではない、他島海世界“アースシー”という別世界が舞台ですが、中世後期のヨーロッパを思わせる建物も登場します。
アレンが住んでいたエンラッド王国について、宮崎吾朗監督は「黄昏を迎えたビザンチン帝国」をイメージしたと言っています。14~15世紀頃でしょうか。
また、ホートタウンについては、ロケハンでみたジェノバの街並みを参考にしていることから、複数の年代の建物が混在しています。

崖の上のポニョ

崖の上のポニョ
本作は時代設定が明確ではありません。
しかし、保育園と老人ホームが隣接し、現代的な幼老複合施設があることや、夫婦共働きが当たり前の環境ということから、劇場公開時の2008年頃の物語と思われます。

借りぐらしのアリエッティ

借りぐらしのアリエッティ
原作では1950年代のイギリスが舞台でしたが、アニメーション化にともない2010年現代の日本に移されています。

コクリコ坂から

コクリコ坂から
原作漫画では連載当時に合わせた1980年代が舞台でしたが、アニメーション化にともない1963年(昭和38年)に変更されています。
翌年に東京オリンピックを控え、高度経済成長が始まったとされる年です。宮崎駿さんは、「この時期から日本は変わり始めた」として描かれました。
また、この年は、宮崎さんが東映動画に入社し、アニメーターとしての歴史が始まった年でもあります。

風立ちぬ

風立ちぬ
『風立ちぬ』は史実がベースになっているので、年代がわかりやすい作品です。
関東大震災のあった1925年(大正15年)と、十二試艦上戦闘機が初飛行する1939年(昭和14年)までが物語のメインとなっています。

かぐや姫の物語

かぐや姫の物語
本作の原作『竹取物語』は、平安時代前期(900年代)に書かれた日本最古の物語とされています。
物語の成立は平安時代ですが、作品の時代設定はというと、登場人物の5人の貴公子が日本書紀に登場する実在の人物ということから、奈良時代初期(720年頃)と思われます。

思い出のマーニー

思い出のマーニー
本作に明確な時代設定はありませんが、スマホや特急列車の「スーパーおおぞら」が登場することから、現代であることがわかります。
おそらく劇場公開された2014年頃と思われます。

アーヤと魔女

アーヤと魔女
本作では携帯電話のない時代にしたかったということから、1990年代のイギリスという時代設定になっています。

君たちはどう生きるか

君たちはどう生きるか パンフレット
映画冒頭に、眞人が「戦争の3年目に母さんが死んだ。4年目にぼくは父と東京をはなれた」と言っていることから、1944年が物語の舞台ということになります。
劇中でサイパン島の玉砕の話をしていることから、架空の戦争ではなく、太平洋戦争であることがわかります。

まとめ

以上、スタジオジブリ作品の時代設定でした。これらの作品を年代順に並べると、こうなります。
『風の谷のナウシカ』だけ、飛びぬけた未来を描いていますね。

720年頃:かぐや姫の物語
1500年頃:ゲド戦記(架空の世界なので建物・生活様式の影響のみ)
1570年頃:もののけ姫
1800年代後半:天空の城ラピュタ
1800年代後半:ハウルの動く城
1925~1939年:風立ちぬ
1930年:紅の豚
1940年前後:魔女の宅急便
1944年:君たちはどう生きるか
1945年:火垂るの墓
1953年:となりのトトロ
1963年:コクリコ坂から
1966年・1982年:おもひでぽろぽろ
1970年頃:平成狸合戦ぽんぽこ
1990年頃:ホーホケキョ となりの山田くん
1990年頃:海がきこえる
1990年代:アーヤと魔女
1994年:耳をすませば
2001年頃:千と千尋の神隠し
2002年頃:猫の恩返し
2008年頃:崖の上のポニョ
2010年:借りぐらしのアリエッティ
2014年:思い出のマーニー
3800年頃:風の谷のナウシカ