千と千尋の神隠し

ジブリ作品には、数々の都市伝説が存在します。

有りもしない設定が、然も公式設定であるように伝えられたり、存在しない別のエンディングが実はあると伝えられたり、トンデモ説やロケ地のデマ情報などが飛び交ってしまうのがジブリ作品です。



これは、きっと、解釈の幅が広い作品性と、設定に奥深さがある故に起きてしまうのだと思います。

それでは、その都市伝説の実際のところはどうなのか。
有名な説をピックアップして、紐解いていきます。

ジブリにはオーストラリアのロケ地がある?

風の谷のナウシカ

昔から、ジブリ作品にはオーストラリアにロケ地があるという情報が広まっています。

事の始まりは『風の谷のナウシカ』から。
ナウシカたちが住む「風の谷」は、オーストラリアのウルル(エアーズロック)の近くにある、カタ・ジュタという岩山がモデルだと言われています。
二つの大きな岩山の間を風が通り抜けるため、「Valley of Wind(風の谷)」という呼び名も実際にあります。

しかし、ここがモデル地かというと、それはまったくの間違いです。
『風の谷のナウシカ』はオーストラリアをモデルにはしていませんし、宮崎駿監督がロケハンをしたという事実もありません。

おそらく、この話に関しては、岩山に「風の谷」という呼び名があることから広まっていった、デマ情報だと思われます。

千と千尋の神隠し

オーストラリアのデマ情報は、まだまだあります。
『魔女の宅急便』に登場したパン屋のグーチョキパン店や、『千と千尋の神隠し』の終盤に登場した海原電鉄の線路も、オーストラリアにモデルがあると言われていたりします。
しかし、これらすべては、間違っています。

少し似ているところがあると、「モデルになってるかもしれないね」という話が出て、尾ひれはひれがついてモデル地と広まっていくのだと思います。

スタジオジブリの公式サイトでも、オーストラリアにジブリ作品のモデル地がないことは明言されています。
なので、オーストラリアが舞台のジブリ作品は、今のところ存在しません。

『天空の城ラピュタ』には別のエンディングがある?

天空の城ラピュタ

『天空の城ラピュタ』には、別のエンディングがあって、一度だけテレビ流れたという情報があります。
これも、結論から言ってしまうと間違いです。

ジブリが別のエンディングを作っていた、という事実はありません。

これは、勘違いによって広まった情報だと思われます。
過去に、テレビ局が作った簡易版のエンドクレジットというのは、確かにあったようです。

通常のエンドクレジットをそのまま流すと長くなってしまうので、局側が作ったよくあるショート版のエンドクレジットです。
そのエンドクレジットでは、作中の絵や、宮崎駿監督が描いたイメージボードなどが使われていて、通常版とは違った印象を受けたことから、それを別の結末と思い込んだ人によって、間違った情報が広まってしまったようです。

サツキとメイは死んでいる?

となりのトトロ

『となりのトトロ』のサツキとメイは、物語終盤では死んでいるのではないか、という都市伝説です。
メイが迷子になり、必死に探すサツキですが、二人とも池で溺れて死んでしまったのではないか。終盤に、ネコバスと一緒に木の上から病院を見ている二人は、既に死んでいるんじゃないかと言われています。その証拠に、二人には影がない、とまで言われています。

しかし、これも間違った情報です。そういった解釈は、いくらでもできてしまいますが、制作者はそういった意図をもって作っていません。
このとこについても、スタジオジブリは公式サイトで、「望まぬ解釈であり、サツキとメイは死んでいない」と明言しています。

また、鈴木敏夫さんも、「ジブリ汗まみれ」の中で、この説を否定していました。
ついでに、サツキとメイには影があります。

『紅の豚』の別のエンディングが飛行機で上映された?

紅の豚

『紅の豚』には別のエンディングがあって、それは機内上映のみで流れたという情報があります。

『紅の豚』では、完成したものと別のエンディングが考えられていたのは事実です。
それは、絵コンテ集にも収録されていて、サボイアに乗ったポルコが、ジェット機に並走して、ポーズを決めて去っていくというもの。
これは絵コンテだけではなくて、セルに起こされたスチールもアート本に掲載されています。

当初は、宮崎駿監督は、エンドロール後のエピローグとして考えていたそうですが、不要だと感じてカットしたそうです。

紅の豚 絵コンテ

本作は、日本航空の提供で製作し、初公開は国際便の機内上映だったため、このときに上映されたものという噂が出回っています。
しかし、これも間違いです。スタジオジブリが否定しているため、上映されたという事実はありません。

こういった、絵コンテの変更やカットというのは珍しくないのですが、それが絵コンテ集に収録されていることや、セル画に起こされていることから、機内上映では流れたのではないか、という憶測が事実のように広まったと思われます。都市伝説には、もってこいの条件が揃っていたようです。

『千と千尋の神隠し』の舞台は台湾の九份?

千と千尋の神隠し

台湾の観光地である九份が、『千と千尋の神隠し』のロケ地であるという情報が広まっています。
この話は既成事実のように広まって、九份ではジブリグッズまで販売されているそうですが、これも間違った情報です。雰囲気が似ていることから広まってしまったデマです。
宮崎駿監督が九份でロケハンをしたという事実はありませんし、モデルにもしていません。これは、宮崎監督自身が明言していることから間違いありません。

『千と千尋の神隠し』を制作するうえで参考にされた場所としては、下記の6点が公式から発表されています。

・「江戸東京たてもの園」子宝湯
・道後温泉本館
・目黒雅叙園
・鹿鳴館
・有楽町や新橋の歓楽街
・のんべい横丁

『千と千尋の神隠し』には別のエンディングがある?

千と千尋の神隠し

ジブリ作品にあるあるの別エンディングの都市伝説です。
劇場公開時に、一部の映画館で別エンディングが流れたというものです。
『千と千尋の神隠し』もご多分漏れず噂されています。

別エンディングの内容というのは、不思議の町から抜け出た千尋たちは、引っ越し先の家に行くところまで続きます。
家に着くと、引っ越し業者がいて、「遅れられると困りますよぉ」と待ちくたびれています。
そして、千尋が近くで川を見つけて、それがハクだったと気づくというもの。

これについては、最近スタジオジブリの公式Twitterにて、否定されました。

視聴者から、別エンディングがあるのかという質問に対して、以下のように答えています。

宮崎監督は、面白がっていました。