マチルダは小さな大天才鈴木敏夫プロデューサーが、アメリカのメディアに宮崎駿・宮崎吾朗両監督の新作について進捗状況を語り、吾朗作品の原作は「イギリス文学で、賢い少女が出る」ということが明かされました。
そのヒントから、当方ではロアルド・ダールの著書『マチルダは小さな大天才』が原作ではないかと推測しましたが、果たして当たっているのでしょうか。



まず、『マチルダは小さな大天才』とはどんな作品なのか、ご紹介します。
1988年にロアルド・ダールが発表した児童文学作品で、1996年にはアメリカで実写映画化されています。

マチルダは小さな大天才

マチルダは、3歳になる前に字が読めるようになり、4歳で有名な文学作品も読みこなすという天才少女。しかし、身の回りには、横暴で高圧的かつ無知で愚かな大人たちがいて、少女のマチルダが頭脳で立ち向かうユーモアのある物語。ストーリーを端的に言うと、こんな感じでしょうか。

ロアルド・ダール『単独飛行』

そして、原作者のロアルド・ダールは、宮崎駿監督が尊敬する作家でもあります。
宮崎監督の『天空の城ラピュタ』に登場するタイガーモス号は、ダールが搭乗した実在するイギリス空軍記名ですし、『紅の豚』の中のエピソードも、ダールの小説『飛行士たちの話』からインスパイアされています。

ダールの著書『単独飛行』文庫版には、宮崎監督による解説も記されていて、そこではダールについてこのように話しています。

『チョコレート工場の秘密』を読んだとき、ダールはただものじゃないと思いました。ぼくは子どものことについて、それなりに関心を持っているつもりですが、あの作品は自分の中にすっと入ってきませんでした。『おばけ桃の冒険』もそうです。『チョコレート工場の秘密』は子どもたちにとても人気のある作品ですが、トルストイの『三びきのくま』と同じように、大人が見るとどこが面白いかわからないからでしょう。子どもの本はいかにあるべきか、どういうものを子どもが喜ぶか、という理屈の圏外にあって、深いレベルで、言葉で理解できる範囲を越えたもう少し底の方に『三びきのくま』は入り込んでいるんです。そういう意味で、たぶん『チョコレート工場の秘密』も同じなんだと思います。大人ではもう分からなくなっている部分があるんです。

(中略)

同時に、彼はただの“爽やか馬鹿”じゃなくて、何か大きなブラックホールだという気がします。確実に存在しているんだけれども、そう簡単には正体は掴めない。ロアルド・ダールというのは『チョコレート工場の秘密』であり、同時に『単独飛行』なんです。『単独飛行』だけ読んでかっこいいっていうだけじゃない。『チョコレート工場の秘密』のようなダジャレを飛ばす感覚と違う一寸おそろしいユーモアがあって、それと『単独飛行』が交ざらないとだめなんだと思うのです。

ここでは、宮崎監督は『チョコレート工場の秘密』に焦点を当てて、ダールの子どもに対する視点とユーモア。それだけじゃなく、『単独飛行』でみせた爽快感など、ダールの持つ奥深い魅力を称賛しています。

ロアルド・ダールをリスペクトする宮崎駿監督が、息子の吾朗監督に向けて、次回作として『マチルダは小さな大天才』を企画したことも考えられるのではないでしょうか。

そして本作のテーマでもある、愚かな大人を賢い子供が正すというのも、現代に合っているように感じるのですが、皆さんいかがですか?

さてさて、結果はどうなるか。予想が当たっているかどうかは、今年の年末辺りには明らかになるでしょうか。
新作の告知を楽しみに待ちましょう。

マチルダは小さな大天才
横暴で高圧的な大人たちに頭脳で立ち向かうマチルダの、痛快仕返し物語。

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