今夏公開の『思い出のマーニー』情報が、だいぶ出てきているので、このページにまとめておきます。
昨年は、宮崎駿監督が引退しましたし、高畑勲監督もおそらく今後長編アニメーションは作りそうもないので、新生ジブリの幕開けとなりそうですね。
米林宏昌監督からも、意気込みを感じる発言が出ているので楽しみです。



Wヒロイン、杏奈とマーニーの声優は高月彩良と有村架純

 

豪華 声優陣

追加キャストには、松嶋菜々子、寺島進、根岸季衣、森山良子、吉行和子、黒木瞳などの豪華な顔ぶれ。
寺島進は、「顔がそっくり」という理由でキャスティングされた。

 

米林宏昌監督が語る、企画意図

今から2年前、鈴木さんから一冊の本を手渡されました。
「思い出のマーニー」
宮崎さんも推薦しているイギリス児童文学の古典的名作です。
鈴木さんはこれを映画にしてみないかと言いました。

(略)

物語の舞台は北海道です。
12才の小さな身体に大きな苦しみを抱えて生きる杏奈。
その杏奈の前に現れる、悲しみを抱えた謎の少女マーニー。
大人の社会のことばかりが取り沙汰される現代で、置き去りにされた少女たちの魂を救える映画を作れるか。
僕は宮崎さんのように、この映画一本で世界を変えようなんて思ってはいません。
ただ、『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』の両巨匠の後に、もう一度、子どものためのスタジオジブリ作品を作りたい。
この映画を観に来てくれる「杏奈」や「マーニー」の横に座り、そっと寄りそうような映画を、僕は作りたいと思っています。

 

主題歌はプリシラ・アーンの「Fine On The Outside」

プリシラ・アーン(Priscilla Ahn)
1984年3月9日、ジョージア州の生まれ、ペンシルベニア州育ち。
現在はL.A.を拠点に活動を続けるシンガー・ソングライター、
マルチ・インストゥルメンタル・プレイヤー。

 

長編アニメで、高畑・宮崎が関わっていない初めての作品

報道陣に向けて行なわれた、『思い出のマーニー』制作記者会見にて、西村義明プロデューサーが本作について語りました。

ジブリの作品はこれまで、宮崎駿や高畑勲が、脚本など何らかの形で関わってきましたが、今回はスタジオジブリの長編アニメーションで初めて、高畑・宮崎、この両者が関わっていません、そういう作品を今、世に送り出そうとしています。

 

企画のはじまり

企画のスタートは、『風立ちぬ』製作中のとき。体力が落ちていく宮崎監督を見た米林監督が、鈴木プロデューサーに直談判したのだとか。

今回の作品『思い出のマーニー』の米林監督。顔写真を見て想像できる通り、普段は飄々としています。生真面目に真っ向から、という感じの人でもないんですけど、「風立ちぬ」を作っている最中に、唐突に鈴木敏夫プロデューサーの部屋に訪ねてきて、開口一番こう言いました。「僕に映画を作らせて欲しい」。宮崎さんが最後の作品になるかというとき、体力が衰えているときに、麻呂さん(米林監督の愛称)が鈴木さんに自分から言ってきました。

 

やり残したことを『思い出のマーニー』で成し遂げる

「借りぐらしのアリエッティ」の時は、宮崎さんと鈴木さんに呼ばれて、「お前が明日から監督だ。この原作を映画にしろ」と言われて映画を作った麻呂さんが、「僕は、アリエッティでやり残したことがあるんです。それを今回の作品でぜひともやりたい」とも言った。その時に、麻呂さんに手渡された原作がこのイギリスの児童文学「思い出のマーニー」でした。

 

『思い出のマーニー』は、宮崎駿が作れなかった映画

宮崎さんが、最近言っていました。「この原作は自分では生涯、映画にできないと思っていた。難しすぎる」。あまり詳しいことは聞いてませんが、それを麻呂さんが作ることについては「これを作ることを決めたのは麻呂だ。あとは麻呂の責任だ」と言っていたそうです。

 

原作の舞台はイギリス。映画では北海道に変更。

麻呂さんは、この原作をもとに映画を作ることになりましたが、まず一番違うのは、舞台をイギリスから日本に移したということ。北海道です。若干、作品のあらすじをお話できるところまでお話しますと、この物語の主人公は12歳の中学生、杏奈です。

 

子どものためのジブリ作品

麻呂さんはこの作品で何をやろうとしてるのか。僕は、それがこの作品のコピー「あなたのことが大すき。」に表現されている気がします。麻呂さんは「企画意図」という文章(本作フライヤーの裏面に記載)で、「もう一度、子どものためのスタジオジブリ作品が作りたい。この映画を観に来てくれる“杏奈”や“マーニー”の横に座り、そっと寄りそうような映画を、僕は作りたいと思っています」と言っています。

 

オーディション1人目で見つかった、マーニーの声

この物語の醍醐味は、ふたりのヒロイン、杏奈とマーニーなんです。結局300人くらいを3日間に分けてオーディションをしたんですが、先にマーニーのことを話すと、1日目の1人目が、実は有村架純さんでした。僕らはまず杏奈を探すつもりだったけど、先にマーニーが見つかってしまった。麻呂さんも僕もうなずいたのを覚えています。しかし、杏奈はなかなか見つからなかった。

 

真っ直ぐで不器用な杏奈の声

真っすぐで、生きているのが不器用に見える女の子。その声はどんなものだろうと思っていたところに、高月彩良さんの声が見つかりました。僕らも杏奈に関してはかなり慎重に考えていましたから、彩良さんだけジブリにもう一度、二次審査というか最終審査のために、僕らの決心のためにも来てもらったんですね。ジブリの試写室でも声を出してもらって、麻呂さんも「この子が杏奈です」と言って、杏奈の声が決まりました。

 

主題歌は、ヒロイン杏奈そのもの


「私は外から見れば大丈夫のように見えるよ。でもその実……」という歌なんですね。彼女に「これ、なんで先に出さなかったの?」と聞くと、「実はこれは7年前に自分が高校生の頃のことを思って書いた曲なんです」と。どういうことかというと、彼女はドイツ系アメリカ人と韓国系アメリカ人のハーフで、アーンは韓国の「安」なんです。生まれはジョージア州で、育ちはペンシルヴァニア州。ペンシルヴァニアは保守的なところらしくて、彼女はあまり友達もできずにひとりで遊び、ひとりで生きてきた。

高校生の時に一番嫌いだったのがランチの時間で、アメリカ映画でよくありますけど、傍らではイケてるグループ、傍らではイケてないグループがある。彼女はそのどちらにも入ることができずに、ひとりでぽつんと座っていた。その記憶が鮮明にあって、それで書いたのがこの曲だそうで。『思い出のマーニー』の作品を説明するにあたって、この7年前に書き終えた曲がもしかしたらジブリの主題歌にふさわしいんじゃないかと思って、掘り起こして、提出したと。それを聞いて麻呂さんは「これは運命ですね。プリシラと『思い出のマーニー』は繋がっていたんだ」と言ってました。

 

美術監督、種田陽平の影響


実写映画の美術でやってこられた種田さんが参加してくれることによって、スタジオジブリの作品の作り方が大きく変わりました。ジブリは、まずは監督の中のイメージがあって、その後で絵コンテがある。美術の設定や設計は絵コンテと平行して、あるいは絵コンテの中から出てくることが多かった。何故かというと、イメージは宮崎駿の中に全部あったからです。宮崎さんの頭の中にあるものがイメージボードに落とされる。それをスタッフとアニメーターが具現化する。

こんな経験は初めてだったんですが、絵コンテができあがる前に、すべての美術設計が出来上がってました。詳細な設計図、そしてジオラマ。実写映画を作るがごとく、種田さんはどんどん設計を進めていってくれました。

そのおかげで、脚本ができあがった後の絵コンテ作業で、麻呂さんはジオラマをかざして、ここから人物が入る、ここからカメラが撮るという風に、種田さんの設計によって、絵コンテも変わっていくことができた。それくらい、種田さんが強い影響を作品に残してくれました。

 

宮崎駿に無いもので作る


麻呂さんはジブリの生え抜きなので、教わってきたものは、ぜんぶ宮崎駿から受け継いだ物。それだけで勝負できるかどうか、真剣に考えたそうなんです。宮崎さんから教わったものを踏襲しながらも、新しい挑戦をしなくてはいけない。そして、自分の中にあるものだけで勝負できないなら、人の手を借りようと。それは大きくはふたり、種田陽平さん、安藤雅司さんに参加していただいたということです。

安藤さんは今回、作画監督で脚本も書いていますが、「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」で宮崎さんの右腕だった人です。宮崎さんと「千と千尋の神隠し」の時に仲違いして、ジブリを出て行って10数年の間、今敏監督と組んだり、沖浦啓之監督と「ももへの手紙」を作ったりしてました。そんな、宮崎さんの作品に一種“NO”をつきつけた作画監督を呼び戻したんですね。

 

Wヒロインの理由「男性は女性を救えない」

20世紀には、完全無欠のヒーローが女性を救うという映画、その後、ヒーローも悩んでいて、それを女性が支えてあげるという映画があった。そして21世紀になって、男性は女性を救えないんだということが、世の中で、社会で、世界的にも分かったんじゃないかと。女性の問題は女性自身で解決しなきゃいけない、それが「アナと雪の女王」です。ジブリ初のWヒロインでありつつ、『思い出のマーニー』には、ほとんど女性しか出てこない。まあ(男性も)何人かいるんですけど。この今の時代が、企画に反映されてるんじゃないか、女性の問題を男性が解決できる時代は終わったんだなと感じます。杏奈の抱えている問題を支えてあげるのはマーニー。それは、時代の必然性があるんじゃないかと思います。

 

ポスターに宮崎駿監督が怒っている

――宮崎駿さんが自分では映画化が難しいと言っていたというが、予告編を見てなんと言っていましたか?

西村:
映像は見せてないです。怖いので(笑)。でもポスターはスタジオ中に貼られていて、宮崎さんは怒ってます。「今どき、金髪の女の子でお客さんの気を引こうなんて、古い」と(笑)。お客さんの気を引くために金髪にしてるわけじゃないんですけどね(笑)。

 

『思い出のマーニー』で米林監督が描くもの

――今回、麻呂さんがこの映画で挑戦している独自の表現は?

湿地へのこだわりもそうですが、麻呂さん自身が言ったかどうか定かではないけど、杏奈とマーニーの繊細なやり取り、これは鈴木さんが「宮さんじゃこのふたりの繊細さは描けない」と。麻呂さんが挑戦しているのは、まさにこれです。表現、とは違うかもしれませんが、杏奈が抱えている思春期の問題に真っ向から挑戦するというテーマが、麻呂さんにとって挑戦です。

宮崎さんの作品の多くは、理想化された女性が出てくる。しかし今回は、等身大の女の子が抱えている問題、つまり今の日本の女の子が抱えている問題を扱っています。麻呂さんは「杏奈にとってマーニーはトトロ。子どもの時に訪れる不思議な出会い。それを僕はやりたいんだ」と。もちろんトトロをやろうとしているわけではなく、マーニーの存在をそう喩えたということです。

 

北海道が舞台の理由

――北海道が舞台ということについては?

湿地が広がっているということで、例えば北海道の釧路。実際にモデルにしてるわけじゃないんですけど。実は、北海道ってジブリが避けてきたんですよ。ピーカンの空じゃないので。宮崎さんは青い空、白い雲を描きたい人なんです。今回も、この原作を扱うときに「瀬戸内を舞台にしたら?」という話もあったみたいなんですけど、北海道は原作の舞台であるイギリスのように薄ぼんやりした、ちょっと寒い空で、ぴったりでした。ピーカンじゃない空を描くというのも今回、1つの挑戦ですね。種田さんが中心になっている美術チームは、この北海道らしい空を描くために一生懸命やってくれています。また、まさに杏奈の心理を反映するように、空と背景が出てきます。

 

安藤雅司が脚本に参加

――脚本が丹羽さん、安藤さん、米林監督の三人にになった経緯は?

前提だけお話すれば、麻呂さんは、脚本は初めてです。アリエッティは宮崎さんが1ヶ月で脚本を仕上げ、麻呂さんはその後4ヶ月で絵コンテを仕上げなくてはならなかった。今回は、脚本と絵コンテで20ヶ月はかけています。これは中身においても責任を追うっていう宣言だと思います。その時に、作画監督を安藤さんに頼みたいという話になりました。安藤さんにすれば、中身に納得できなかったら参加しないということで脚本にも口を出してきたので、じゃあ名前を載せますよと、連帯責任を負ってもらったんです(笑)。安藤さんも納得する脚本で、作品に関わりたいということだったので。

 

高畑・宮崎を凌駕しうる作品

――今回、米林監督は高畑勲、宮崎駿には作れないものを作ると仰っているということですが……。

「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」は、僕が言うのもあれですけど、老人が作りうる、色んなことを経験した人しか作れない作品。じゃあ、高畑・宮崎がこのマーニーを原作に子どもが見られる作品を作れるかというと、僕は作れないと思う。麻呂さんの若さがあってこそ成しえる表現、挑戦で、そういう題材だと思っている。その意味で、ふたり(高畑・宮崎)を凌駕しうる作品が作れるんじゃないかと思っています。

 

今後のスタジオジブリについて

――西村プロデューサーとしては、ジブリの今後について展望はありますか?

無責任だと捉えられると良くないんですけど、映画を1本作っている時は、それ以外のことほとんど考えられなくて。それは高畑さん宮崎さん鈴木さんもそうだったと思うんですけど、1本1本一生懸命作って、それがどういう風に受け止められたのか分からない中では、なかなか先のことを考えられない。今必死で作っているのは『思い出のマーニー』です、ということですね。

 

思い出のマーニー×種田陽平展

『思い出のマーニー』で美術監督を務める、種田陽平さんが作った美術設計をもとに、湿っ地(しめっち)屋敷や映画の舞台を立体再現した展覧会、「思い出のマーニー×種田陽平展」が江戸東京博物館で7月21日から開催されます。

開催概要
会場:江戸東京博物館 1階展示室
会期:2014年7月27日(日)~9月15日(月・祝)
時間:9時30分~17時30分(休館日=8月4日、9月1日) ※入場は閉館の30分前まで

 

ジブリの立体建造物展

ジブリ作品に登場する建物にスポットを当てた展覧会が開催されます。
ミニチュアを中心とした立体作品をはじめ、映画に登場する建物の設定資料、背景画といった美術資料などが公開されます。

開催概要
会期:2014年7月10日(木)~12月14日(日)
※休園日=毎週月曜日、月曜日が祝休日の場合はその翌日

時間:4月~9月 9時30分~17時30分/10月~12月 9時30分~16時30分
※入園は閉園の30分前まで会場江戸東京たてもの園(都立小金井公園内)

 

『米林宏昌画集 汚れなき悪戯

『思い出のマーニー』の公開に先がけて、米林宏昌監督による初の画集が発売されます。
カバーイラストをはじめ、本書のための描きおろしは25点以上。
また、『思い出のマーニー』『借りぐらしのアリエッティ』を中心に、米林監督直筆によるカラーイラスト、イメージボード、キャラクター原案、絵コンテなど、 膨大な素材群から絵柄を厳選。
加えて、『風立ちぬ』の菜穂子、『コクリコ坂から』の海、『崖の上のポニョ』のポニョとグランマンマーレ、『ハウルの動く城』のソフィー、『千と千尋の神隠し』の千尋など、米林氏が描いてきたジブリ作品のヒロインたちの原画やレイアウト画、これが初公開となる貴重な初期プライベート画も網羅。

『米林宏昌画集 汚れなき悪戯
発売日:2014年6月21日
価格:3,456円
≫Amazonで詳細を見る


ジブリ情報配信中