エキレビの『風立ちぬ』のレビューで、面白い考察があります。
映画のなかで登場する帽子は、その人の「いるべき場所」を暗示しているというもの。
軽井沢で、菜穂子に向かって飛ばす紙飛行機には、絶対なんらかの意味があるはずだ、と思っていましたけども、まさか帽子にこんな意味があったとは。ちょっと感動。



「風立ちぬ」の帽子はその人が「いるべき場所」を示している

この映画で、帽子は三人目の主役と言ってもいいくらい目につきます。
ずっと風にはためいてるので、飛ばされないかハラハラしますし
飛ばされると、見てる私は「あっ!帽子!」ってなって気になります。
ダメ押しで、セリフでもちょくちょく触れてきます。

二郎と菜穂子が初めて会った列車の中で、お絹が
「お嬢様、帽子が飛びますよ」

二郎が初めて出社したとき、上司の黒川さんが二郎をデスクに案内しながら
「帽子はここ」

これは私の解釈ですが、帽子はその人の「いるべき場所」を示してるんだと思います。

カプローニさんと会ってる夢の中に、二郎は帽子を持っていきません。
持っていってもすぐ飛ばされて、二郎の頭にありません。
二郎がいるべきは現実の世界で、夢の世界(死後の世界と繋がってる)ではないから。

黒川さんが帽子の場所を指定したのは、ここが二郎の席で、これからずっと居る場所だから。
二郎は言われた後すぐ、指定の場所に帽子を掛け、デスクに座って仕事を始めます。