ハウルの動く城

『ハウルの動く城』の中で、わりと印象的なシーンだと思いますが、後半でハウルの城か崩れてしまい、躯体だけのままソフィーの髪の毛を燃料に動きまわるシーンがあります。
あのシーンが生まれた背景や、参考にしていた絵画があったことが、2016年に行なわれた鈴木敏夫×押井守×川上量生の三者対談で語られました。



業火のシーンは、ルネサンス期に活躍した画家のヒエロニモス・ボッシュの絵画が参考にされていたことや、崩れてしまった城は作画の労力を削減するためだったこと。
その崩れてしまった城は、鈴木敏夫プロデューサーが持っていたネジ巻きオモチャが参考にされていたことが明かされています。

ヒエロニモス・ボッシュ

ハウルの城が戦火の中を走りまわるシーンについて

鈴木:
ボッシュの絵を見に行ったじゃない。覚えてる? 一枚の絵が気に入ったって言って。それで、お城の後ろの方で、燃えてる火があるじゃない。
オレなんか『ハウルの動く城』は、あそこを切り取って、これを映画の中で描いたらどうかと。その戦火の中を、ハウルの動く城が走りまわる。「宮さん、そういうのが観たいですよね」って言うと、「そうだね」って言うんだよね。良いシーンなんですよ、頭の中で浮かぶでしょう? ハウルの動く城が、戦争のさなか、その中を走りまわるっていう。
「そろそろ、そのシーンですね」って宮さんに言ったら、「いや、やりたいけどさ、鈴木さん。時間がないんだよ」って。

押井:
余計なこといっぱいやってんじゃない(笑)。

鈴木:
それで、会社のぼくの部屋に、ネジ回しで動くオモチャが置いてあったんですよ。そしたら「鈴木さん、これ貰っていいかな?」って言うんですよ。「貸して」って持っていっちゃったんだよね。「どうするんですか?」って言ったら、「ちょっと使いたいことがある」って。そしたら、絵コンテに登場するんですよ。
なにかっていったら、ハウルの動く城の、いろんなお城の部分が吹っ飛んじゃって、躯体しか残らない。それが、その戦火の中を動きまわるっていう設定に変わるんですよ。「こうすれば描けるから」って。

川上:
吹っ飛ぶのは、描くのが楽だからっていうだけのために、ああなったんですね?

鈴木:
そうそう(笑)。

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