読売新聞に、宮崎吾朗監督のインタビューが掲載されています。

 松本市中央の市美術館で開催中の「スタジオジブリ・レイアウト展」に合わせ、今夏公開されたアニメ映画「コクリコ坂から」の宮崎吾朗監督(44)が同市を訪れた。信州大農学部出身の宮崎監督は読売新聞のインタビューに応じ、学生時代に知り合った人々のイメージが作品にも反映していることを明らかにした。

 
 
 ――松本に戻った印象は。

 「学生時代に比べてずいぶんきれいになったが、街並みが変わっても周りの山々は変わらない。そのお陰で『変わっていないんじゃないか』と思わせてくれる。それが松本の良さ」

 ――学生時代の思い出は。

 「松本では南浅間に下宿した。橋を渡るのが面倒で、冬場は水がなくなった女鳥羽川を渡って大学に通っていた。サークルは児童文化研究会。近所の子供を集めて遊んだり、人形劇を作って保育園を回ったり。2年生以降は伊那に移ったが、サークルのため、授業が終わったら毎日松本に来ていたくらい熱中していた」

 ――信大を選んだ理由は。

 「父(宮崎駿監督)と違う道を選びたいと思っていた。高校では山岳部だったので、森林工学科がある信大に進学した。色んな友達ができて、経験したことが今の自分を作る大事なものになっている」

 ――大学時代の経験で作品に影響しているものは。

 「『コクリコ坂から』の中で、学生たちが部室として使う古い建物『カルチェラタン』に住み着く個性豊かな人々は、学生時代の仲間がイメージにある。長野の人って、理屈っぽくて頑固で。そういうところが好き。私の学生時代は、まだどこか『旧制高校』的なバンカラな雰囲気が残っていたのかも」

 ――レイアウトの魅力は。

 「キャラクターがかわいいとか、話が好きとかいうだけでなく、やはりアニメは動く『絵』。絵として魅力があることが大事。それを作る最初の段階が、画面を作る上の設計図であるレイアウトで、そこにジブリ映画の秘密が全部入っている。一つ一つがどういう意味を持つか分かって見てほしいので、音声ガイドも使ってもらえれば。(ジブリの)高畑勲監督と宮崎駿監督の画面の作りの違いも、じっくり観察すれば分かる。大勢の方に見てもらいたい」