なつぞら『なつぞら』第24週では、『大草原の少女ソラ』が放送開始されるまでの制作エピソードの回となります。タイトルこそ『草原の少女ローラ』とそっくりなものの、内容のほうは高畑勲作品である『アルプスの少女ハイジ』や『母をたずねて三千里』を彷彿とさせるものになっていて、いろいろな要素が散りばめられた、本作のフィナーレを飾るのにふさわしい作品へと仕上がっていくのでした。



第139話「大草原の少女ソラ」

第139話では、なつは惜しまれつつも東洋動画を円満退社します。そして、感慨に浸るのもほどほどに、マコプロでは『大草原の小さな家』のアニメーション企画が進んでいき、舞台は日本に変更し、タイトルは『大草原の少女ソラ』に決定しました。もうほとんどタイトルが、『草原の少女ローラ』と変わりません(笑)。

スポンサーは「ミルコス」というところが付いているらしく、その名も「ミルコスまんが広場」と題して放送されます。これは、カルピスの一社提供で、のちの「世界名作劇場」シリーズの前身となった話が参考にされていますね。

なつは、この作品でキャラクターデザインと作画監督を担当することになります。実際の『草原の少女ローラ』では森康二さんが、『アルプスの少女ハイジ』では小田部羊一さんがキャラクターデザイン・作画監督を担当していて、これはには仲努(森康二)さんや小田部さんの志をなつが繋いでいくという、製作陣の想いのようなものが伝わってきました。

そして、マコプロのメインスタッフは、北海道・十勝にロケハンに行くことになります。これは、『アルプスの少女ハイジ』の制作時にスイスでロケハンをしたことが元ネタのようです。

第140話「神っちのロケハン方法」

第140話では、なつたちは十勝をロケハンし、泰樹おんじからは北海道の開拓を始めることになった子供時代の話を聞きました。ここにきて、泰樹おんじがみなしごだったことが明かされます。なつと同じ境遇だったために、おんじは幼少期の夕見子よりも、なつを可愛がっていたのも納得がいきます。まさか、こんな終盤でおんじの過去が語られるとは思ってませんでしたが……。

おんじの話から、十勝川の洪水のエピソードが出ると、神っちは「洪水は使えるかもしれない」と食いつきます。これは、宮崎駿監督が洪水のモチーフを好んでいて、自作で度々町を水没させているためでしょう。そして、ロケハン中の神っちはスケッチをしないで観察に留めているのも、宮崎監督がひたすら観察をして記憶で絵を描いていることから引用しているようです。

第141話「日常を描くアニメーション」

第141話では、なんと帯広の「雪月」に亜矢美さんが現れます。故郷の九州から放浪を初めて7年。日本中を歩き回り、北海道までたどり着いたそうです。フーテンの亜矢美と自称し、さんざん寅さんっぽいと揶揄されていた咲太郎を差し置いて、亜矢美さんが寅さんになってしまいました。スタイリッシュな風貌に、相変わらずの元気の良さ。否、むしろパワーアップしてるかもしれません。亜矢美さんは雪月で働くことになり、その影響があるのかないのか、雪月はますます繁盛し、北海道を代表する製菓メーカーになっていくのです。

一方、マコプロのテレビ漫画『大草原の少女ソラ』も制作が始まります。なつはキャラクターデザインを担当していますが、初期案はダメ出しを食らいまくりボツとなってしまいます。思い悩むなつに、下山さんが十勝で優をスケッチしたときの絵を見せます。そこから、なつはヒントを得て、描き出します。

第142話「オープニングアニメの女の子ソラ」

第142話では、なつはソラのキャラクターを完成させます。それは、まさしく『なつぞら』のオープニングアニメに登場する女の子で、頬を赤らめたところなんかは、ハイジのようなキャラクターでした。

そして、新たな登場人物として、レイという男の子が作られます。その子は、両親を失った孤児という設定になりました。舞台は北海道で、みなしごという設定が加わり、なつの経験がフルで活かされる作品となります。『なつぞら』のエンディングもすぐそこ。風呂敷が閉じられていくのを感じるような内容でした。

第143話「放送開始」

第143話では、ついに『大草原の少女ソラ』のテレビ放送が始まります。制作も佳境となり、夜食には『ルパン三世 カリオストロの城』に登場したような、山盛りのナポリタンが振る舞われます。

マコプロの面々は、さまざまな名カットを生みだし、牛が勢いよく飛び出してくる宮崎さんが描きそうなカットや、牛に顔を舐められた少年がコミカルな表情をみせる宮崎さんのようなカットまで、さまざまに宮崎さんしていました。

ソラの声優には、新人の白本千香子が採用されます。この役を、現在の『ルパン三世』で三代目の峰不二子の声を演じていることで有名な、沢城みゆきさんが務めていました。
『なつぞら』は、俳優・声優ともにサプライズで大物を起用してきますね。
また、『大草原の少女ソラ』で語りの声は、『まんぷく』でヒロイン・福ちゃんを演じた安藤サクラさんが担当したことでも、この回の放送は話題となりました。

第144話「千夏の登場」

第144話では、『大草原の少女ソラ』の第1話目が放送されます。オープニング映像は、なんと『なつぞら』のオープニングを模したもので、劇中アニメーションのオープニングから、『なつぞら』のオープニングに繋がっていくという、なんとも気持ちが良い見事な展開でした。

無事に初回の放送は終わったものの、視聴率は揮わなかったようで、厳しい局面を迎えます。放送打ち切りの危機に合いながらも、何とか乗りきっていき、徐々に人気が出てきてファンレターが届くようになります。
そんなる日、ソラのファンだという一人の女の子がスタジオに訪ねてきました。それは、千夏ちゃん。小さななっちゃん。なつの妹である千遥の娘だったのでした。千夏ちゃんを演じているのは、なつの子供時代を演じた粟野咲莉ちゃんなのでした。

いよいよ『なつぞら』もすべての風呂敷が畳まれようとしています。

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