中川李枝子 児童文学

スタジオジブリというと、オリジナル作品ばかり作っていると思われるかもしれませんが、実は原作のある作品のほうが多いのをご存知でしょうか。



宮崎駿監督や高畑勲監督の強烈な作家性で、オリジナル作品のように仕上がっている作品も多いですが、ジブリ作品の長編短編合わせた約半分が原作のある作品となっています。

そんな中で、もっともジブリでアニメ化された作家は誰なのかというと、児童文学作家の中川李枝子さんです。
意外に思われるかもしれませんが、実は短編とショートショートで、3作品がジブリでアニメーション化されています。

まず、いちばん最初にアニメ化されたのはこちら。

そらいろのたね

中川李枝子 そらいろのたね
本作は、男の子のゆうじがオモチャの飛行機で遊んでいると、キツネがやってきて、「そらいろのたね」と飛行機を交換することになります。
ゆうじは、そのそらいろのたねを植えて見ずをやると、空色の家が生えてきます。どんどん家は大きくなり、たくさんの動物や鳥や子どもたちが集まって、楽しい遊び場になります。そして、そこに再びキツネがやってきて……、という物語。

日本テレビの開局40周年記念作品として制作されました。
全3話のショートショート(各話30秒)で、1992年12月23日からテレビ放映されました。

本作は、『ジブリがいっぱいSPECIAL ショート ショート1992-2016』のBlu-rayとDVDに収録されています。

くじらとり

中川李枝子 くじらとり
次にアニメーション化されたのは『くじらとり』です。
本作は、児童文学『いやいやえん』に収録された一編で、ちゅーりっぷ保育園の園児たちが空想の中でクジラを獲りに行くという物語。子どもの持つイマジネーションを映像化した良作です。

三鷹の森ジブリ美術館の短編作品として、2001年から公開されています。

たからさがし

中川李枝子 たからさがし
『たからさがし』は、宮崎駿監督のただひたすら走るアニメーションを作りたい、という思いから制作されました。
本作は、『未来少年コナン』をオマージュしているようなシーンもあり、昔からの宮崎駿ファンにとっては嬉しい作品だと思います。

三鷹の森ジブリ美術館の短編作品として、2011年から公開されています。

その他

アニメーション化された作品は以上の3作ですが、中川李枝子さんと宮崎駿監督の縁は深いものがあり、その他の作品についても映像化の話がありました。

児童文学『いやいやえん』は、宮崎監督のオリジナル要素を交えた『崖の上のいやいやえん』というタイトルで映像化が検討されました。しかし、この企画は、中川さんが『いやいやえん』のタイトルを使用することに難色を示したため頓挫。その後、企画は『崖の上のポニョ』へと変更されます。

中川李枝子 ぐりとぐら

また、中川さんの代表作である絵本『ぐりとぐら』も、ジブリでアニメーション化を検討したことがあります。
このときは、演出家を募り、絵コンテを描いて、信頼できるアニメーターまでつけて、準備班を用意しましたが、映像化は難航し頓挫しました。

そして、中川さんといえば、絵本版『となりのトトロ』の詩を書いていることでも知られています。

中川李枝子 絵本『となりのトトロ』

以上のように、宮崎監督は中川さんから様々な影響を受けてきました。中川さんの作品は、もっともジブリでアニメーション化されており、もっとも宮崎監督と縁の深い作家と言えるかもしれません。

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