現在では、スタジオジブリ関連の展覧会は常に何かしら開催されていて、珍しいことではありませんが、以前はここまで頻繁に開催されていませんでした。
一時は、同時多発的に6つの展覧会が開催されている時期もありました。
ここまで開催されるようになったのは、おそらくスタジオジブリが制作部を解体したことと関係があると思われます。
スタジオジブリは、2014年に『思い出のマーニー』を最後に、雇用制度は一旦廃止し、制作部を解体しました。
この時期は、宮崎駿監督が長編から引退したばかりで、映画をコンスタントに制作するのが困難になり、スタジオジブリ自体が方向性を模索していました(詳しくはこちらの記事を)。
このときから、ジブリ関連の展覧会は頻繁に開催されるようになります。
2014年から現在までの期間に開催されていた、規模の大きな展覧会は下記の通りです。
ジブリ休止中に開催された展覧会
「スタジオジブリ・レイアウト展」2008年 開幕→2019年 巡回終了
「近藤勝也展」2012年 開幕→2018年 巡回終了
「スタジオジブリ立体建造物展」2014年 開幕→2018年 巡回終了
「近藤喜文展」2014年 開幕→2019年 巡回終了
「思い出のマーニー×種田陽平展」2014年 開幕→2016年 巡回終了
「ジブリの大博覧会」2015年 開幕→2020年 巡回終了
「鈴木敏夫とジブリ展」2017年 開幕→ 巡回中
「高畑勲展」2019年 開幕→2021年 巡回終了
「アニメージュとジブリ展」2021年 開幕→ 巡回中
以上、9つの展覧会が、2014年から現在までの間に開催されていました。
そして、現在も開催されているのは、「鈴木敏夫とジブリ展」と「アニメージュとジブリ展」の二つ。
その他は、ここ数年で巡回が立て続けに終了しています。
つまり、スタジオジブリの谷間の時期となった、2014年からジブリが再始動するまでの期間を支えていたのが、展覧会だったんですね。
ジブリが制作を中断した2014年から、宮崎吾朗監督の『アーヤと魔女』が公開されるまでに、6年もの期間が空いていましたが、ジブリファンにそれほど寂しさを感じさせなかったのは、この展覧会の存在が大きかったようです。
そして、展示物というのは、いくら厳重に管理して展示していても、必ず劣化していくもので、展示できる期間が決まっているそうです。
「レイアウト展」は特段長かったですが、その他はだいたい4年~5年程度で終了しています。
「高畑勲展」に至っては、たったの2年で終了しました。
そう考えると、これら展示物というのは、この先はもう公開されるかわからない、一生に一度見れるかどうかの、貴重なものだったわけですね。
映画であれば、後からでも劇場鑑賞するチャンスはあるかもしれませんが、資料等々の現物となると、お目見えする機会は早々ありません。
つまり、このジブリの谷間の時期をリアルタイムで過ごしたジブリファンは、運が良かったと捉えられるかもしれないですね。
余談ですけど、これまでに開催された展覧会を見てお気づきかもしれませんが、宮崎駿監督を特集した展示がないということ。
ここまで頻繁に開催されながらも、宮崎駿監督だけがありません。
もしかすると、次に満を持して開催されるのが、「宮崎駿展」なのかもしれません……。