「映画のまち調布 シネマフェスティバル2020」の関連イベントの1つとして、『天空の城ラピュタ』がシアタス調布にて特別上映されたので観に行ってきました。
『天空の城ラピュタ』は、これまでに100回くらい観ていそうな気がするんですけど、設備の整った劇場で鑑賞するのは初めてのことです。
実は、国立映画アーカイブで、当時物のフィルムで『ラピュタ』を上映するという企画では鑑賞したことがあるのですが、それとは趣旨が違いますからね。当時のフィルムでは、色も落ちてますし、傷も多かったですから。
今回の上映は、DCP(デジタル・シネマ・パッケージ)といって、1986年に宮崎駿監督たちがスクリーンで観たフィルムの上映品質を再現したものになっています。
デジタルリマスターとも違っていて、フィルムの質感が感じられるものですね。
今回の上映は、1986年当時にタイムスリップして劇場鑑賞する、という気持ちで観に行きました。
去年のシネマフェスでは『風の谷のナウシカ』が上映されたんですけど、そのときと同じように上映前には当劇場のスタッフさんから挨拶がありました。
『ラピュタ』を劇場鑑賞したことが無い人にとっては、コンプレックスが解消されますよ、と。『ナウシカ』のときと同じことを言ってました(笑)。きっと同じ方が挨拶されてたんですね。
コロナウイルスの影響もあってか、劇場はチラホラ空席もありました。おそらく払い戻しをした人も多かったんじゃないでしょうか。せっかくの機会なのに、勿体ないですね。
『天空の城ラピュタ』は泣ける映画
映画館で観る『ラピュタ』は、テレビで観るものとはやはり違っていました。音響もさることながら、背景の描き込みや、作画の小さな動きにも気づきがあります。
もう、映画の初っ端から感激ものでした。久石譲さんの音楽に乗せて、ドーラたちが襲撃してくるシーンには鳥肌がゾワゾワと立ち、キャラクターの小さな動きや、髪の揺らめきなんかにも作り手の思いが感じられて、終始感激モノでした。
ドーラが持つ「ANGO」と書かれた本だとか、ドーラの自室にある若かりし頃の肖像画など、劇場で観ていると自然と目が行くものだなと思いました。
宮崎監督が泣きながら絵コンテを描いていたという、ロボット兵が破壊されるシーンでは、そのまんま宮崎監督が浮かんできたりもしました。
制作時のエピソードをある程度知っているため、このとき作り手はどのような思いだったのか、ということも考えたりしましたね。
フラップターに乗ったパズーが、シータをかっさらう救出シーンでは、劇場で観ることができた嬉しさからなのか、よくわからないんですけど泣けてきました。
そして、エンドロールでも、今は亡き方々の名前を見ると、こみ上げてくるものがあります。
まさか、『天空の城ラピュタ』が泣ける映画だったとは!
来年は?
調布のシネマフェスティバルでは、2年続けてジブリ作品が上映されたわけですけど、これってもしかして来年は、『となりのトトロ』と『火垂るの墓』の2本立て上映をしてくれるのでしょうか?(笑)
『風の谷のナウシカ』から『レッドタートル』までをジブリ作品とカウントして、毎年ジブリ作品をリバイバル上映していっても、1周するのに20年以上要するので、順番に上映していくというのはアリなんじゃないでしょうか。
もう、わかりきっていることなんですけど、やはり映画っていうのは映画館で観るものなんですよね。
テレビサイズで観慣れてしまうと、いろいろなものを落っことした鑑賞になってしまうわけです。
劇場上映っていうのは、何度も観た作品に新たな“気づき”を与えてくれるわけですから、毎年ジブリ作品が上映される「調布のシネマフェス」となったら、こんな嬉しいことはありません。