平成最後のこの年に、『平成狸合戦ぽんぽこ』のロケ地めぐりをしてきました。
本作は、多摩丘陵の宅地開発を題材にしているため、モデルとなった場所がたくさん存在します。
ちょっとしたワンショットの背景画などにも、実際の多摩近郊の風景がたくさん描かれています。
菩提餅山万福寺は、龍生寺阿弥陀堂がモデル
タヌキたちが住んでいた菩提餅山万福寺は、八王子市堀之内にある龍生寺阿弥陀堂がモデルとなっています。
本作で美術を担当した男鹿和雄さんは、ここを参考に万福寺を描いたそうです。
ちなみに、この近辺は宅地開発がされたとはいえ、まだ里山の雰囲気が残っている場所です。
タヌキたちは、この本堂に大勢で集まっていましたね。
実際に行ってみると、こじんまりとしていて映画とはスケール感が全然違うように感じますけど、タヌキ視点で描くと大きくなるのかもしれません。
横には、たくさんのお地蔵さんがいます。
タヌキたちが化けているのかもしれません。
映画にも登場した、鐘つき堂と形状がよく似ています。
こちらも参考にしているかもしれませんね。
お堂の中には、映画にも登場した青い花瓶が置かれています。
この内部も参考にして描かれたんですね。
聖蹟桜ヶ丘
聖蹟桜ヶ丘といえば、今では『耳をすませば』のイメージがあると思いますけど、実は最初に登場したのは『平成狸合戦ぽんぽこ』なのです。
四国からスリーマスターこと三長老がやってくるシーンで、聖蹟桜ヶ丘の1番線ホームに下り立ちます。
三長老が陽気に踊りながら改札を抜けるシーンでは、正面から描かれていました。
外に出たときも、このような画角で一瞬だけ駅の背景が映ります。
現在だったら、すぐに聖蹟桜ヶ丘と気づかれるでしょうけど、当時は全然知られておらず話題にもなりませんでした。
そして、聖蹟桜ヶ丘の街を三長老たちが車で走っていきます。
映画の後半では、多摩川を宝船に乗ったタヌキたちが移動していきます。
そのときも、京王線が描かれていました。
南大沢
最後は万福寺が壊されて、トレンディな住宅地へと変わってしまいましたが、それは南大沢にあるベリコリーヌという集合住宅地が描かれています。
このベリコリーヌは、東京の建築物を紹介する本に掲載されていて、純粋に建築物として見に行ったことがあります。
そのときに似ていることに気が付いて、モデルになっていることを知りました(笑)。
現在の南大沢というと、駅前にあるアウトレットのイメージが強いかもしれませんけど、最初に建物を見に行ったときは、まだ東京都立大学とベリコリーヌを始めとした集合住宅がいくつかあるくらいで静かな場所でした。
駅前なんかほとんど人がいなかったのに、今では開発も進んで賑わっていますね。
京王多摩センター
開発が進んで川の護岸工事をするシーンでは、乞田川が描かれました。
これは高畑勲監督が、日本アニメーションの多摩スタジオにいたときに実際に見た光景を、映画に盛り込んだそうです。
この給水塔は、ファミリーがピクニックをしているとき、背景に小さく描かれていました。
京王多摩センターから1キロほど離れた一本杉公園にあります。
まだ現在も、映画のときと同じカラーリングで存在します。
一本杉公園付近の都道156号には、映画にも登場した「どうぶつ注意」のタヌキが描かれた看板があります。
映画とまったく同じデザインですね。
人間として生きることにした正吉が、仕事から帰ってくるシーンで描かれていた陸橋です。
映画では、もっと上からのアングルでした。
エンディング間際、仕事帰りの正吉がタヌキを見つけるシーンがあります。
映画では、壁の下に穴が開いていて、そこからタヌキが出入りしていました。
現在ではあまり見なくなった、コンクリートの組立塀ですが、これは京王多摩センター近郊にありました。モデルになったかどうかはわかりません。
ゆうひの丘展望台
映画のエンディングは夜景で締め括られていたので、多摩市の夜景からビル群まで望める「ゆうひの丘展望台」に来ました。
お隣はゴルフ場ですので、正吉たちが踊っていたのもこの辺かもしれないですね。
『平成狸合戦ぽんぽこ』DVD 本編に加えて、映像特典として「特別語りおろし 古今亭志ん朝 落語『狸賽』」を収録。 |