鳥獣戯画展

上野の東京国立博物館で開催されている特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」を観に行ってきました。
本展は、鳥獣戯画の甲・乙・丙・丁の全4巻全場面が一挙公開されるという、史上初の展覧会となります。



ジブリとは関係のない展示じゃないかと思われるかもしれませんが、鳥獣戯画といえば高畑勲監督が愛した作品です。
鳥獣戯画の画風で、長編アニメーションを作れないか試みたこともあるのです。
結局、鳥獣戯画の画風で長編を作ることは困難ということになって、諦めることになるわけですが、もし制作されていたら800年後の人々が、よく当時の技術で作ったもんだと感心しながら鑑賞していたかもしれません。

十二世紀のアニメーション

そして、高畑勲監督は、『十二世紀のアニメーション』という書籍で、鳥獣戯画の解説も行なっています。
ここでは、「A 水遊・賭弓巻」「B 相撲・法会巻」「C 競馬巻」という、3部構成で読み解いています。

ジブリがいっぱい SPECIAL ショートショート 1992-2016

さらにさらに、スタジオジブリでは以前、テレビCM用に鳥獣戯画を使った3篇の映像を作ったことがあります。このとき作画を担当したのは、近藤勝也さん。このCMは『ジブリがいっぱい SPECIAL ショートショート 1992-2016』にも収録されています。

丸紅新電力のCMに使われているのですが、鈴木敏夫プロデューサーは、いつの日か鳥獣戯画を動かしてみたいという想いがあり、実はCMの話が来る前から鳥獣戯画のアニメーションは作っていたそうです。800年間 動くことのなかった鳥獣戯画に命を与えるとどうなるかということに、興味があったそうです。

丸紅新電力×スタジオジブリ 鳥獣戯画

さて、鳥獣戯画というと、誰が何の目的で描いたか不明とされています。
この展示を観ながら感じたのは、何の目的もないのではないか、ということでした。
おそらく、全4巻で描いている人は、複数人いると思います。
少なくとも、いちばん有名な甲巻に関しては、のびのびと躍動感あふれる自由な筆運びに、仕事で書かされた絵には到底思えなかったです。

鳥獣戯画

原版を見ていたら、当時の画が浮かぶというか、絵師が面白がって動物を描いているような光景を想像してしまいました。
元々絵師が面白がって描いたものに、別の絵師が続きを描き足していったものが、全4巻になったのではないかと思いました。
まったくの想像なので、見当違いかもしれませんけどね。

鳥獣戯画展

さてさて、本展は、本来5月30日までの会期でした。
ところが、緊急事態宣言の発出を受けて休館を余儀なくされ、6月20日まで延長されました。
残り10日間の会期があるので、皆さんもよかったら、とオススメするつもりだったんですが、既にチケットは完売しておりました……。

ということで、興味のある方は、本展の図録をオンラインショップで購入してみては如何でしょうか。
朝日新聞のオンラインショップにて、販売されています。

鳥獣戯画展 図録

鳥獣戯画が、ほぼ原寸サイズで掲載されているので、じっくりまじまじと鑑賞することができます。

そして、ジブリファンの人にオススメしたいのは、高畑監督の著書『十二世紀のアニメーション』と両方購入するということ。
『十二世紀のアニメーション』のほうは、図版はそんなに大きくないので、図録で鳥獣戯画を見ながら、高畑監督の解説を読むという、贅沢な楽しみ方ができるのです。

さらに、動いている鳥獣戯画にも興味がある方は、『ジブリがいっぱい SPECIAL ショートショート 1992-2016』もオススメです。