20日、TOHO シネマズ日本橋で開催中の「東京アニメアワードフェスティバル 2014」特別オープニング作品としてフランスの巨匠ミッシェル・オスロ監督のアニメーション映画『キリク 男と女』(3D版)が日本初公開され、来日中のオスロ監督とスタジオジブリの高畑勲監督がトークショーを行った。
ジブリはオスロ監督の長編デビュー作『キリクと魔女』をはじめ『夜のとばりの物語』などを劇場公開。高畑監督も作品の日本語版監修を務めるなど、オスロ監督と交友を深めている。この日はそんな巨匠2人の対談が実現。オスロ監督からは自身のデビュー作が世に広まった経緯や日本アニメへの関心、高畑監督からは日本アニメの将来に対する思いなど、1時間にわたるトークが繰り広げられた。
高畑作品についてオスロ監督は「優れた映画が起こす奇跡。誰が観ても理解できる力がある」と称賛。中でも『火垂るの墓』で主人公の兄妹が身を寄せた叔母の所でうまくいかず、家を飛び出すシーンを挙げて「セリフでは言わなくてもキャラクターの中にそういう気持ちがこみ上がっていくのが観ていてわかる。(国を超えて)誰が観てもわかるのが優れた映画」とキャラクター表現の豊かさを絶賛した。
一方の高畑監督は、言葉や臨場感へのこだわりについて、オスロ監督の『キリクと魔女』や『アズールとアスマール』を例に挙げて褒め返し。『キリクと魔女』では、劇中のアフリカで交わされるフランス語を実際にセネガルで録音しており、高畑監督は「僕はフランス語がわからないけど、聞いていてパリのフランス語とは全然違うということや、感情がわかる。そういうことをちゃんとされている」と指摘。『アズールとアスマール』には「アズールが海の向こうに行ったさい、そこで使われているアラブ語に字幕を載せたり翻訳したりしない。実際に(外国の人々に)出会ったときに言葉がわからず必死に推測しようとする状況を描いているからだ」とリアリティーにこだわった演出に共感を寄せていた。
またトーク中は、日本を拠点にした作品を手掛けている高畑監督に司会者から「海外を舞台にした作品を作るつもりは?」という質問も。高畑監督は「もうこの歳ではないですよ。ある時期からやっていないですし、その気になってやることもないと思います」とコメント。新作の予定についても「まだ。遊んでいたいので」と笑顔で答えていた。
東京アニメアワードフェスティバル 2014は3月23日までTOHOシネマズ日本橋にて開催
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