千と千尋の神隠し

スタジオジブリの公式Twitterが、金曜ロードショーの『千と千尋の神隠し』の放送に合わせて、視聴者からの質問を募集し、作品の疑問に答えるという企画が行なわれました。



最近は、恒例の企画となっていて、これまでにも『ハウルの動く城』や『ゲド戦記』『もののけ姫』の放送時にも、放送に合わせたリアルタイム解説が行なわれました。
それら、貴重なツイートをまとめました。

Q&A1
Q:『千と千尋の神隠し』には幻のその後の物語があり、一部映画館でのみ上映されたという噂がありますが本当ですか?それともただの都市伝説でしょうか。

A:都市伝説です。
宮﨑さん「最初は千尋の家から始める予定だったんだよ。千尋の部屋が妖怪の通り道になっていて、お母さんと一緒に湯屋へいくって話。でもまどろっこしいからやめたんだよね。なのでそういう噂が流れているんだったら、面白いね!」

Q&A2
Q:どういう理由で『千と千尋の神隠し』というタイトルに決まったんですか?
また他にタイトル候補はありましたか?

A:1999年11月2日に脱稿した企画書の段階では「千の神隠し」でした。ある段階で、この映画は千尋の話だからと「千と千尋の神隠し」というタイトルになりました。

Q&A3
Q:トンネルの前にあった不思議なダルマのような岩にはどのような意味があるのですか?

Q&A4
Q:ジブリパークにあのトンネルを作る予定はありませんか?

A:ジブリパーク絶賛建築中の吾朗さんに聞いてみました。
吾朗さん「『あの作品』の『あのトンネル』は、つくっていますよ〜(笑)」

Q&A5
Q:千尋に対してお母さんがちょっと冷たい感じがします。何か理由があるのか、もともとクールな人なのか、 ずっと気になってます。

A:作画監督の安藤雅司さんは、宮﨑作品に出てくるお父さん、お母さんイメージではなくしたかったと語っており、「クールで家族の和が乱れるところにいない人」を意識して設定したそうです。

Q&A6
Q:主人公はどうして千尋という名前になったのでしょうか?

A:千尋は当時10歳前後だった宮﨑さんの友人たちがモデルです(名前の一部も)。初号試写のあと、宮﨑さんは誰よりも早く、その子たちの感想を聞いていました。

Q&A7
Q:この作品を作るにあたって参考にした物や場所など、詳しく知りたいです。

A:「ここ」と特定された場所はありません。宮﨑さんはかつて訪れた場所を回想し、思い出せないところを想像しながら描きます。
冒頭に登場する不思議な町の飲食店街は、有楽町や新橋の歓楽街をイメージしながら描かれたそうです。

Q&A8
Q:釜爺と働くマックロクロスケは同種ですか?それとも似て非なるものですか?

A:マックロクロスケの正式な名称は「ススワタリ」。絵コンテにもそう書かれていますので、同種といっても間違いではなさそうです。当初はお米やゴマが好物という案がありましたが「金平糖」が大好物ということになりました。

Q&A9
Q:リンのように人間の姿で描かれているキャラクターは人間なのですか?それとも他の生き物なのですか?

Q&A10
Q:お風呂でぎゅうぎゅうになっているひよこ達の詳細を知りたいです!

A:「オオトリさま」というヒヨコの神様です。
ちなみに同じくお湯に浸かっているのは「牛鬼」です。
宮﨑さん曰く、「今の日本の神様は大変だよなぁ」と思い、神様や妖怪が疲れを癒す湯屋が生まれたそうです。20年後の今はもっと湯屋が繁盛しているのかも……。

Q&A11
Q:おしら様はなぜ上の階までついてきたのですか?

A:千尋に興味をもって一緒にエレベーターに乗りましたが、湯婆婆の部屋が意にそわなかったようで、すぐに降りてしまったようです(ちゃんと絵コンテに書いてあります)。

Q&A12
Q:湯屋の世界は大体今から何年前の設定なんですか?

Q&A13
Q:千尋がおむすびを食べる前、花の間をすり抜けていくシーンの、花の洪水のような雰囲気が凄く好きです。
あそこだけ表現の手法を変えていますか?

A:あのシーンは、絵の具で描いた花をコンピューター上で奥行があるようにアニメーションさせています。

Q&A14
Q:ハクが渡したおにぎりはしろむすびな気がしたのですけど中身は入っていたのですか?

A:絵コンテには「おにぎり(のりなし)3つ」と書かれています。
具が入っていたかは想像にお任せします(ワサビが入っていたわけではありません)。

Q&A15
Q:ハクはだいたい何年くらい生きてるのでしょうか?!見た目は少年ですが…!

Q&A16
Q:カオナシの動きは少し猫っぽい動きなのかな…?と個人的に思ってるのですが、参考にした動物等はありますか?

A:参考にした「動物」はありませんが、当時のスタッフは「誰もが持っている執着心、人の病んだ部分を集約しているような気がした」と語っています。

Q&A17
Q:湯屋のお札の格付けが知りたいです!何種類あって、春日様はどのランクの札だったのか気になります。

A:格付けはありませんが、各々の札でお湯の効能が違います。

Q&A18
Q:カオナシは神様ですか?湯屋に入れてもらえなかった理由はありますか?

A:カオナシは神様ではありませんが、「みんなの中にカオナシはいる」と、当時宮﨑さんは発言しています。

Q&A19
Q:ジブリスタッフさんたちに千尋には特別な想いを持っている方が多かったりしますか?
20周年の時、スタッフ同士で何かお祝いなどはありましたか?

A:スタジオはいわゆる「周年記念」をやりません。
過去を振り返らず、目の前のことをやっていこうというのが、宮﨑さん、鈴木さんの考えです。

Q&A20
Q:劇中に登場する料理は大抵一度は作られるそうですが、千尋が頬張っていたあの大きなあんまん(肉まん?)も手作りされたのですか?

A:登場する食事をすべて作ることはありません。宮﨑さんは「映画に出てくる食べ物はたいてい昔つくって食べたもの」と語っています。
ちなみにラピュタやハウルに登場する目玉焼きは、学生の頃、長旅から一文なしで帰宅して、お腹ペコペコで作った記憶をもとに描いたそうです。

Q&A21
Q:どうしてカオナシという名前なんですか?

A:当時の作画打ち合わせで、湯婆婆、カオナシ、千尋のすべてが「個人の一面」であると宮﨑さんが語っています。
人はみんないいところも悪いところもある。一面的に描くことが出来ない人間の象徴として、カオナシというキャラクターを生み出したのではないでしょうか(真面目に答えてみました)。

Q&A22
Q:海外での公開時、和の神様・神隠しなど日本ならではの概念が、どの様な反響・感想だったのか気になりました。また、制作時に海外の反応も考えられて作られたのでしょうか?

A:国によって様々です。カオナシの登場で「シーン」となる国もあれば、爆笑に包まれる国もありました。宮﨑さんは海外の反応を意識して映画を作ることはありません。鈴木さんは「日本人が日本人でしかできないものを作れば、それがグローバルな作品になる」と語っています。

Q&A23
Q:坊はなぜあんなに大きく描かれているのですか?

A:子どものまま大きくなってしまった……という象徴です。
湯婆婆は坊にお金がかかってしょうがないそうです。

Q&A24
Q:『千と千尋の神隠し』は数々のアニメで声優をつとめる神木隆之介さんの声優デビュー作です。オーディションだったため自宅で声を録音してテープを送ったあとジブリのスタジオへ呼ばれたとお聞きしました。神木さんを坊の役にキャスティングした理由をお伺いしたいです。

A:当初坊の声は、身体の大きな方々が候補としてあげられていました。当時8歳の神木さんの声を聞いた瞬間、宮﨑さんの顔がほころび「こっちだよ鈴木さん!」と叫んで決定しました。

Q&A25
Q:ユバーバとゼニーバの見分け方を教えてください。

Q&A26
Q:釜爺は銭婆のことを恐ろしいと言っていますが、劇中では優しいおばあさんです。釜爺はなぜ銭婆のことを恐ろしいと言ったのでしょうか?

A:優しく見える人が、怒ると一番怖いのです。

Q&A27
Q:「お客様とて許せぬ!」のシーンは、なぜドラゴンボール風にしたのですか?なぜ湯婆婆はあんな弾を打てたのですか?

Q&A28
Q:電車についての質問です。
昔は行きと戻りがあったのに、行きっぱなしになってしまったのには理由があるのでしょうか? 何か設定があれば教えて頂きたいです。

A:作画打ち合わせの時、宮﨑さんは「湯屋の従業員はみんなお金を貯めて橋の向こうの町に店を出すのが夢なんです。レジャーには行くのかな?でも、電車に乗ったら二度と帰ってこれなくなるしなぁ」と発言しています。

Q&A29
Q:作画に一番時間がかかった場面はどこですか?

A:キャラクターが多ければ、時間がかかりますし、このカットに時間がかかっていたとは一概に言えません。一番かは不明ですが、千尋の細かい仕草を宮﨑さんは直すことが多く、特に千尋が銭婆からヘアゴムをもらって髪の毛をゆわくシーンは懸命に直していたそうです。

Q&A30
Q:一番難しかったアフレコのシーンはどこですか?

A:釜爺演じる菅原文太さんは、ゆっくりたっぷり話されるので、尺に収めて頂くのが大変でした。柊瑠美さんは「一本ね。一本じゃ花束って言えないわ」の「一本ね」に苦労していました。そして、入野さんが何度も挑戦したのが「ニギハヤミコハクヌシ」です!

Q&A31
Q:ハクの本名の「ニギハヤミコハクヌシ」は、漢字でどう書くのでしょうか?「琥珀川」なのか「小白川」なのか、気になっています。
「ニギハヤミ」の意味があったら知りたいです!

A:設定上はカタカナ表記ですが、「ニギハヤミ」という名前は、飛鳥時代に蘇我氏と争って破れた物部氏の祖先といわれる饒速日命(ニギハヤビノミコト)や、川の神で龍の化身でもある速秋津彦(ハヤアキツヒコ)など複数の神を合成したものだそうです。

Q&A32
Q:千尋はどうやって、最後豚の中にお父さんとお母さんはいないと見抜いたのですか?

A:理由は定かではありませんが、ぜひ、宮﨑さんが大きな影響を受けた「クラバート」という児童文学を読んでみてください。

Q&A33
Q:最後で千尋の髪飾りがきらりと光るのは何か理由があるのでしょうか?

Q&A34
Q:千尋が不思議の街に迷い込み、湯屋で働き、トンネルを出るというのは何日くらいの出来事だったのでしょうか?

A:鈴木さんは、三日説を唱えています。
お父さんとお母さんが、何事もなかったように車に乗り込む時、車の中は埃だらけになっていますので、トンネルのあちらとこちらでは、時間の経過が違うのかもしれませんね。

Q&A35
Q:トンネルが行きと帰りで違うのはどうしてですか?

A:美術スタッフの吉田昇さんに聞いてみたところ、「時間の経過によるためです」と答えてくれました。と……いうことは「三日説」は崩れる……?

Q&A36
Q:千尋とハクはその後出会えたのでしょうか?