いよいよ「3週連続ジブリ祭」の第3弾『平成狸合戦ぽんぽこ』の放送日となりました。2013年以来2年ぶり、8回目の放送となります。
ということで、例のごとく、金曜ロードSHOW!に合わせまして、『平成狸合戦ぽんぽこ』の豆知識を集めてみました。
制作時 高畑勲監督はダミーの締切を伝えられた
『平成狸合戦ぽんぽこ』は当初より1994年夏公開の予定でしたが、高畑勲監督は平気で締切伸ばしてしまうため、鈴木敏夫プロデューサーはダミーの締切として春公開と伝え、偽のポスターまで作って、夏の公開に間に合わさせた。
ジブリ作品 初の実写が使われている
タヌキたちが見ているテレビに映る天ぷらは、実写の映像が使用されている。
『平成狸合戦ぽんぽこ』には、これまでのジブリキャラが登場している。
「妖怪大作戦」発動のシーンに、『おもひでぽろぽろ』のタエ子、『となりのトトロ』のトトロ、『魔女の宅急便』のキキ、『紅の豚』のポルコが登場している。
企画の始まりは、杉浦茂のマンガ「八百八だぬき」が検討された。
企画の進展とともに、この案は消えてしまう。しかし、完成した『狸合戦ぽんぽこ』には、杉浦茂のタヌキのキャラクターが登場している。
監督は、このキャラを単なるゲスト扱いではなく、「主人公のタヌキたちが、精神的に負けた気分のときに自然にその姿をとってしまう」という設定で描かれている。
「企画」とクレジットされている宮崎駿だが、実際は「督戦隊」の役割を果たした。
鈴木敏夫プロデューサーは、このように語っている。
鈴木:
宮崎監督の役割ですか?
彼の今作での立場は企画者となっていますが、本人はそれを否定しています。上の絵を見てください。「私は企画者ではありません」って書いてありますよね(笑)。絵のとおり、今回の宮崎監督の役目は「督戦隊」でした。
それは戦場で、味方の一番うしろに立って「行け~」と叫び、仲間を激励する人のことです。いや~宮崎監督がその役をやってくれなかったら、果たして、夏の公開に間に合っていたかどうか(笑)。いまだから笑って話せる話ですが、本当に心の底から宮崎監督には感謝しています。ええ。
タイトルの『平成狸合戦ぽんぽこ』は、バカバカしさを表したものとして付けられた。
鈴木:
ひとつのエピソードとしては、タイトルですよね。高畑さんがいろいろ喋ってるうちに、「やっぱり、かつてそういう言い方があったんで、『狸合戦』っていうのが良いんじゃないか」って言って。高畑さんが「どうせ、バカバカしい話なんだから」って、平成になったばかりで、この「平成」って言葉には、そのバカバカしさがつきまとっていると。それを付けることによって、作品の意味としてもタイトルとしても面白くなるんじゃないかって言って、『平成狸合戦ぽんぽこ』っていうタイトルを付けてシナリオができるんですよね。
二本足で直立するタヌキたちは「信楽狸」という。
滋賀県の名産である信楽焼の狸の置物にちなんで、直立する二本足のタヌキは「信楽狸」と呼ばれている。
『平成狸合戦ぽんぽこ』は、ジブリで初めてCGが使われた作品。
CG処理したのは、図書館でおろくが若手タヌキたちに資料を見せながら講義をするシーン。たくさん並んだ書架をカメラが舐めるように移動していくカットで使われている。
登場人物は、東映動画時代のスタッフがモデル。
鈴木:
あの狸の登場人物たち、実は東映動画の歴史でもあるんですよ。それぞれのキャラクターが、誰かということがわかるように作ってあるんですよ。あのなかに出てきた権太、あれは宮さんだよね。特攻隊で死んじゃうんですけどね。で、正吉は自分だしね。
映画が完成した日のことは、忘れもしませんけども、高畑さんと宮さんとぼくで並んで観てたら、最初から最後まで泣いてたのは宮さんですよ。だって、自分たちの青春が描かれてたから。高畑さんは、そういうの得意ですよね。
ジブリの教科書8 平成狸合戦ぽんぽこ 池澤夏樹、似鳥鶏らが作品の魅力を解き明かしつつスタッフの回顧録も収録 |