男鹿和雄展

ジブリの美術監督・男鹿和雄さんを特集した展示「ジブリの絵職人 男鹿和雄展」。本展は2007年に東京都現代美術館を皮切りに、全国9都市で開催された人気展です。



展覧会のタイトルである「ジブリの絵職人 男鹿和雄展」は、当初「スタジオジブリ背景画展」を予定していたことが、6月11日と18日に放送されたラジオ『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』にて明かされました。

放送には、かつて日本テレビのイベント事業部に所属していた中村知純さんが出演。中村さんは「男鹿和雄展」のプロデューサーを務めており、当時はタイトルで揉めたことを懐古しています。

男鹿和雄 画集

中村さんは、男鹿和雄さんの画集を見て、こういった絵があるのであればこれを展覧会でやりたいと思ったそうです。そして、鈴木さんに企画書を提出します。

その際に、展覧会のタイトルは「スタジオジブリ背景画展」としていたところ、「このタイトルでは宮さんが了解しない」と鈴木さんからダメ出しがあります。
宮崎監督が了解しない理由というのは言及されていませんが、タイトルに男鹿さんの名前を入っていなかったことではないかと思われます。

鈴木さんの考えとしては、「スタジオジブリ背景画展」では人が来ないと思ったそうです。
「ジブリの絵職人 男鹿和雄展」とすることで、男鹿さんのことを世間に広めることができる。男鹿さんを知らないとモグリだよ、というメッセージにもなる。それがたまたま上手くいったといいます。

男鹿和雄展

しかし、男鹿さん自身はというと、自分の展覧会にも名前をつけられるのが嫌なほど、表に出ていきたがらなかったそうです。

本展を開催するにあたり男鹿さんの条件は、「テレビには出ない」だったといいます。以前、映画の宣伝関連で取材を受けたときに、カメラを向けられることがバズーカ砲を向けられているのと同じくらいの恐怖を感じたそうです。
ただ、中村さんの誠実な交渉もあって、男鹿さんは宣伝に協力することとなります。こうして、ドキュメンタリー作品『ジブリの絵職人 男鹿和雄展 トトロの森を描いた人。』にも男鹿さんは出演されています。

また、鈴木さんにタイトルを筆字で書いてもらうよう依頼したのも中村さんで、このときが初めてだそうです。現在では当たり前になっている原点が、ここにあったことが明かされました。

男鹿和雄とは

男鹿和雄 サイン

いまさら説明の必要もないかもしれませんが、男鹿和雄さんは『となりのトトロ』からジブリ作品に参加している、ジブリ作品を代表する美術監督です。
『となりのトトロ』を制作する際に、宮崎監督が美術家を探していたところ、山本二三さんから男鹿さんのことを教えられ、そこから参加が決まります。
以後、ほぼすべてのジブリ作品に携わっています。

ジブリ作品以外の有名どころでいえば、『パンダコパンダ 雨降りサーカス』で背景美術を担当。『はだしのゲン』では初となる美術監督を務めました。原爆のきのこ雲を描いたことも有名です。
また、『サマーウォーズ』『ももへの手紙』『バケモノの子』『この世界の片隅に』『メアリと魔女の花』『若おかみは小学生!』など、数々の作品で背景画を描いています。

「男鹿和雄展」の巡回記録

男鹿和雄展 図録

男鹿和雄展は、2007年に東京都現代美術館で開幕し、全国9都市で開催されました。

東京都現代美術館:2007年7月21日〜9月30日
松坂屋美術館:2008年5月1日〜5月20日
札幌芸術の森美術館:2008年7月12日〜9月15日
角館町平福記念美術館:2008年9月20日〜11月4日
愛媛県美術館:2008年11月22日〜2009年1月18日
長崎県美術館:2009年4月4日〜6月14日
長野県信濃美術館:2009年6月27日〜8月27日
新潟県立万代島美術館:2009年9月19日〜11月29日
兵庫県立美術館:2009年12月8日〜2010年2月7日

「男鹿和雄展」の映像作品

男鹿和雄展 DVD&Blu-ray

「男鹿和雄展」を特集したドキュメンタリー作品として、『ジブリの絵職人 男鹿和雄展 トトロの森を描いた人。』が発売されています。

男鹿さんが自ら背景画について解説しているほか、男鹿さんと近しい方々のインタビューやアニメーションの映像を交えた作品となっています。男鹿さんの師匠である小林七郎さんも出演されています。今となっては貴重な映像です。

男鹿和雄展 DVD&Blu-ray

ちなみに、DVDとBlu-rayの両方で発売されているのですが、Blu-rayのほうはDVDとセットになったツインパックしかありません。
DVDは単体で買えますが、Blu-rayが欲しい方はセットで買うしかありません。DVDからBlu-rayに移行する過渡期に発売された、不思議なセット販売となっております。

以上、

男鹿和雄展

「男鹿和雄展」のご紹介でした。
本展は、筆者も東京展を観に行ったことがあるので、とても思い出深い展覧会でもあります。
当時は、現在ほどジブリ関連の展覧会も頻繁には開催しておらず、開幕の日が待ち遠しく心躍ったのをよく覚えています。

こちらのDVD&Blu-rayは、そんな思い出をよみがえらせてくれる素晴らしい作品ですし、まだ観たことない方にとっても当時の展覧会の内容や空気感が伝わることと思います。
「男鹿和雄展」が懐かしい人も、まだ知らない人も、ぜひぜひご覧くださいませ。

ジブリの絵職人 男鹿和雄展 トトロの森を描いた人。

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