スタジオジブリ初のテレビ用作品『海がきこえる』は、今年で公開30周年を迎えます。
1993年5月5日16時に放映され、視聴率は17.4%を記録したものの、その後は2011年に1回放映されたのみ。ジブリ作品としては、極端に露出の少ない作品となります。
そのため知名度が低く、人気作品とは呼べないかもしれません。がしかし、他の劇場作品にも引けを取らない魅力のある作品で、コアなファンを獲得した名作なのです。
露出が増えれば、それだけ多くの人に愛される作品になるはずなので、ここでひとつ『海がきこえる』の関連本をすべてご紹介します。
アニメージュ連載の『海がきこえる』
まずご紹介するのが、いきなり入手しずらいもので申し訳ないのですが、アニメージュ連載の『海がきこえる』です。
アニメ『海がきこえる』は、氷室冴子さんの同名小説が原作で、挿絵を作画監督の近藤勝也さんが担当していました。
連載していたのは、月刊アニメージュ1990年2月号から1992年1月号まで(1991年2月号は休載)。
この連載版では、後に書籍化された単行本や文庫本よりも、近藤勝也さんの挿絵がたくさん掲載されています。
また、内容に関しても書籍化にあたり修正があるので、原本を読みたい方はこちらを集めてみては如何でしょうか。
単行本『海がきこえる』
連載後に書籍化されたのが、こちらの単行本です。
1巻がアニメージュで連載されていたもので、前半部分がアニメーション化されています。
2巻の『海がきこえるⅡ アイがあるから』は書き下ろしの続編です。こちらは、アニメ化されていませんが、アニメ版が好きな人にも、ぜひ読んでもらいたい内容です。大学生になった杜崎拓と武藤里伽子の、その後がわかります。
文庫本『海がきこえる』
後に文庫化されたのがこちら。内容は単行本とほぼほぼ同じですが、ところどころ文章に修正が入っています。ストーリーやシーンの改変といったものではなくて、言葉のチョイスが変わったくらいの小さなものです。
挿絵に関しては、単行本と文庫本で若干の違いがあります。ファンの方は、両方買うと良いでしょう。
新装版『海がきこえる』
こちらは、新装版の文庫です。2022年に1巻が発売されて、2023年に2巻「アイがあるから」が発売されました。
氷室冴子さんのデビュー45周年記念として、徳間文庫から発売されたものです。
小説の内容は、以前の文庫本と同じですが、1巻の巻頭には「月刊アニメージュ 2008年8月号」に掲載された近藤勝也さんのイラストが掲載されているのと、女優の酒井若菜さんの解説があります。2巻のほうは、小説家の斜線堂有紀さんの解説が掲載されています。
紙も上質紙で、少し豪華になりました。
『海がきこえる』絵コンテ
スタジオジブリ絵コンテ全集から、『海がきこえる』が発売されています。
前半部分には望月智光監督が描いた絵コンテが掲載されていて、後半部分にそれを近藤勝也さんが清書した絵コンテが掲載されています。
絵コンテには制作者のコメントなども書かれているので、演出意図を読み解くのに
また、本書にはショートショートの『そらいろのたね』の絵コンテも収録されています。こちらも『海がきこえる』と同時期に公開された作品です。
『海がきこえる』フィルムBOOK
ジブリ作品では、フィルムコミックやシネマコミックといった、コミックシリーズが発売されているのですが、『海がきこえる』に限ってはこのフィルムBOOKしかありません。
こちらは、コミックシリーズのような漫画のコマ割りになっておらず、静止画が羅列したレイアウトとなっています。それなので、読んだときの印象が若干静かな感じがします。
それから、巻末には、望月智光監督、近藤勝也さんらのスタッフインタビュー、設定資料なども掲載されています。
本作は、ガイドブックが発売されていないので、これらの資料は貴重なものとなります。
『海がきこえる』より 僕が好きなひとへ
こちらの書籍は、小説から抜粋した文章と、近藤勝也さんの挿絵が掲載された、詩画集のような体裁となっています。
巻末には、氷室冴子さんの書き下ろしで、杜崎拓から武藤里伽子へ宛てた手紙が掲載されています。
この内容がなんとも温かく、手紙って良いなと思える内容です。メールやLINEじゃなくて、たまには手紙を書いてみようかな、と思わせる内容かもしれません。
『海がきこえる』COLLECTION
こちらは、実写版『海がきこえる』を特集したガイドブックです。
実は、小説『海がきこえるⅡ アイがあるから』はドラマ化されていまして、杜崎拓役は武田真治さんが、武藤里伽子役は佐藤仁美さんが演じています。
巻末には、近藤勝也さんのイラストとインタビューが掲載されています。アニメとドラマの違いなども話しています。アニメファンの人も楽しめる内容です。
『海がきこえる』パンフレット
『海がきこえる』は劇場作品ではありませんが、実はパンフレットが作られています。
こちらは、関係者やマスコミ向けに作られたもので、非売品です。
内容のほうは、作品解説と、望月智光監督、近藤勝也さん、高橋望プロデューサーのインタビューが掲載されています。
これは、「月刊アニメージュ 1993年1月号」に掲載されたものと、まったく同じ内容です。
パンフレットは現在入手困難なので、アニメージュのほうを買うのも良いかもしれません。
氷室冴子読本
こちらは『海がきこえる』関連書籍ではありませんが、特集が組まれています。
原作者・氷室冴子さんのロングインタビューが掲載されているほか、映画監督・中原俊さんとの対談も『海がきこえる』を主題とした内容で語られています。
スタジオジブリ作品関連資料集Ⅳ
こちらはスタジオジブリ作品の資料を紹介する書籍シリーズ。チラシやパンフレットから、キャラクター設定資料、美術設定資料、企画書などなど、貴重な資料が収められています。
なにしろ、『海がきこえる』はガイドブックも発売されていないので、これらはとても貴重な内容となります。
以上が、
『海がきこえる』関連本のご紹介でした。
この『海がきこえる』は、グッズ展開も少なく、書籍展開も他の作品と比較すると極端に少ないものとなっています。
今からでも、すべて集めようと思えば集められる数しかありません。
興味のある方は、ぜひぜひ書籍も集めてみてください。