耳をすませば

『耳をすませば』は、柊あおいさんの少女漫画が原作となっています。

スタジオジブリで原作モノをアニメーション化する場合、オリジナル要素も多分に追加され、原作とは違った展開になることも珍しくありません。



この『耳をすませば』においても、絵描きを志していた聖司がヴァイオリン職人を目指していたり、スリムな黒猫だったムーンが太った猫になっていたりと変更点は、少なからずあります。

それでは、原作者の柊あおいさんは、アニメーションのオリジナルについては、どのように思っていたのでしょうか。
じつは、その答えは近藤喜文監督との対談のなかで明かされています。

近藤:
柊さんは宮崎さんの絵コンテを読まれて、どう思われました?

柊:
そうですね。まず私が描いた原作というのが、そもそも自分の描きたいことを描ききれないうちに終えてしまった作品だったので、自分の中で未消化になっていたんです。ですから宮崎さんの絵コンテを読ませて頂いた時、私の中で未消化で終っていた部分、私が原作で描きたいと思っていたことがほとんど全て入っていて、やっとこの作品がきちんとした形で結末を迎えることができたという気がして、とても嬉しかったです。

それから人間が独り立ちする時に、当然ぶつかる進路選択をめぐって生じてくるいろいろな問題を、人が生きる道として、職人という道もあるんだということを示してくださったことが宮崎さんらしくて、思わう一人で喜んでしまいました。ただ、もっと全体が宮崎さんの世界に染まってしまうんじゃないかと思ってましたので、わりと原作どおりの部分が多かったのには驚きました。

以上が、柊さんのアニメ版『耳をすませば』についての感想です。

じつは、漫画『耳をすませば』は、柊さん自身は長期連載する予定だったそうですが、第4話で終了しています。

第3話を描き始めたところで、編集部から連載終了を告げられ、急展開で話を畳んだ不遇の作品でした。

そのため、柊さんの描きたいことは達成できていなかったわけですが、スタジオジブリのアニメーション化によって、作品の志は継承され実を結ぶこととなったのです。

『耳をすませば』Blu-ray

≫Amazonで詳細を見る
≫楽天で詳細を見る