『天空の城ラピュタ』には、別バージョンのエンディングがある、という噂が昔からありますが、そのことについては、スタジオジブリ自身が、ジブリの公式サイトにて否定しています。
なので、エンディングは絶対にひとつなのです。が、小説版の『ラピュタ』には、あの事件から半年後のことが、ほんの少しですが描かれています。
故郷に戻どり、元の生活をしているシータのもとに、パズーからの手紙が来るというものです。
その手紙には、ドーラたちの話や、政府の話。それから、オーニソプターがもうすぐ完成しそうなので、「会いに行くよ」ということが書かれています。ほんの少しですけれど、シータとパズーのふたりが、その後、どのように暮らしているのか垣間見れます。
また、映画公開直後に、宮崎監督が描いたイラストに、花束を持ったパズーがオーニソプターに乗って、シータに会いに行くものがあります(「スタジオジブリ作品関連資料集I」に収録)。
きっと、こういったものから、想像力が膨らんで広まっていった噂なんだと思います。
「二人のこれから」が気になるのがジブリ作品ですが、宮崎駿監督によるこういったイラストがあると、観客の想像力もどんどん膨らんでいきますよね。
ちなみに、『天空の城ラピュタ』制作時のインタビューで、宮崎監督はこんなことを言っていました。
庶民として生きるふつうの少年の映画
終わりは、女の子とふたりでもって空を飛ぶよりも、それぞれに生活しながら、少年は自分の夢だったオーニソプターを作って、娘に会いに行く。そんなふうにしたいなって。それはいってしまえばささやかなことですよ。軍事国家はあいかわらずだしね。庶民として生きることしかないわけですから。
だけど、そういう映画を作りたい。これで天下国家は万、万歳というふうな映画はいま作れないですね。そういう映画はウサンくさくなってしまいますから。
(アニメージュ 1985年)
スタジオジブリ作品関連資料集Ⅰ 映画がスクリーンに映し出されるまでの膨大な資料の数々。もう一つの「風の谷のナウシカ」と「天空の城のラピュタ」。 |