道後温泉

スタジオジブリ公式Twitterにて、倉庫整理の際に昔の社員旅行のパンフレットを発見したことがツイートされました。

行き先は、四国・松山とプリントされており、表紙のイラストにも、「やっぱり旅行といったら温泉ですね」と書かれています。
これには、ジブリファンの人はピンと来たんじゃないでしょうか?



そうです。
四国・松山で温泉といったら、なんといっても道後温泉でしょう。
そして、道後温泉といったら、『千と千尋の神隠し』で油屋の参考にされたことでも知られています。

この発掘された社員旅行用パンフレットは、1998年7月のもので、このときは『ホーホケキョ となりの山田くん』を制作している時期でした。
このとき、『となり山田くん』の次の企画には、これまた銭湯を舞台にした物語で、煙突に絵を描く18歳の画学生を主人公にした、『煙突描きのリン』という作品が考えられていました。

社員旅行を松山に決めた経緯というのは定かではありませんが、おそらく『煙突描きのリン』でも、道後温泉をモデルにすることを考えていたのではないでしょうか。

道後温泉

しかし、『煙突描きのリン』は1998年6月頃から約1年間に亘って企画検討されましたが、1999年に廃案となってしまいます。
その理由として、この当時、大ヒットしていた『踊る大捜査線 THE MOVIE』が関係しています。この作品では、同時代の若者の気分をリアルに表現していました。鈴木敏夫さんは、この『煙突描きのリン』の女性が、この時代に合っているのか疑問を抱き、宮崎監督に『踊る大捜査線』の話をしはじめます。

すると、宮崎監督は、この企画が時代に合っていないことを察知し、これまで描き溜めた『煙突描きのリン』のイメージボードを、すべてゴミ箱に捨てたといいます。
そして、次の企画として宮崎駿監督が提案したのが『千と千尋の神隠し』だったのです。

前置きが長くなりましたが、こうして社員旅行の経験が活かされて、『千と千尋の神隠し』に繋がっていったのだと思われます。

道後温泉

ロケ地めぐりで愛媛・松山に行ったことがありますが、道後温泉は油屋の造形に影響を与えているほか、内部も油屋の雰囲気を感じさせるものがありました。
よろしければ、ジブリ旅の記事をご覧ください。

ちなみに、スタジオジブリ公式サイトでは、1998年当時の『ホーホケキョ となりの山田くん』の制作日誌がまだ残っていて、今でも見ることできます。

この旅行用パンフレットのイラストを描いたのは、美術の長田昌子さんだったみたいですね。