1月18日に行われた、「淵の森」の下草刈りに、ワタクシ(ジブリのせかい)も参加してきました。
そこは、JR「新秋津」駅から徒歩5分程度にある雑木林。1996年に、この土地が宅地開発されそうになったとき、宮崎駿監督が3億円を投じ、東村山市と所沢市に寄付をしました。現在は、公有地となり、両市によって管理されています。
宮崎監督は、この「淵の森」を守るために、「淵の森保全連絡協議会」を結成し、会長を務めています。
その「淵の森会」によって、早春の下草刈りが行われ、全国から約260名のボランティアが集まりました。淵の森の保全活動は、今年で19年目を迎えます。
毎年、この時期に行われるのは、植物に詳しい宮崎監督の奥さんの提案だそうです。
この時期を過ぎると、動植物の活動や成長が活発化してしまうため、その前に刈ってしまうのが良いのだとか。
この日の朝9時、会長の宮崎駿監督から挨拶があり、雑木林に生えるアズマネザサの刈り取りについて指示がありました。
すべて刈り取るのではなく、川沿いと杭の周辺に茂っているものは残してほしいとのこと。
アズマネザサは、まったく管理しなければ林床を覆いつくしてしまい、光が入らなくなってしまうので、本来の植物の生育が阻害されてしまうそうです。
しかし、過剰に管理してしまうと、群落規模が小さくなってしまい、その群落に依存する昆虫類、その中に逃げ込む野鳥や、越冬する生き物、生息環境として利用する小動物の生活の場が奪われてしまうのだとか。
ある程度、まとまった範囲を刈り残すことで、リスクを回避できるのだと思います。
「人間の見た目で、無い方が綺麗で良いと判断しないで、自然のことを考えてほしい」と宮崎監督。川の近辺も、人間が手入れをしすぎると、土地が痩せてしまうこともあるようです。
宮崎監督が「川が動く」と表現していたのが、印象的でした。
今回の活動で、杭の交換も行われました。
事前にスタッフの方が交換する杭に印をつけており、それを抜き抜いて、新しい杭を打ち込んでいきます。
古い杭は、根本が腐敗しているものがほとんどでした。新しい杭は、白くて綺麗ですね。
役目を終えた杭の集まり。朽ちています。
川原に下りると、自然そのもの。
この淵の森で切られた木は、このように椅子として利用されるのだとか。
宮崎監督も、この切り株の椅子に座っていました。
丘の上には、黄色い旗が立てられています。
刈り取った草を、ここに集めるための印です。ここに置いたまま、土に変えてしまうのだとか。
この淵の森で生まれた植物は、一切外に出さず、この土地で生まれ変わっていくという徹底ぶり。
地産地消ですね。
こんな石碑も建っていました。
この写真では見づらいですが、宮崎監督のメッセージが以下のように書かれています。
宮崎監督の直筆文を、そのまま石碑に掘り起こしたもの。
淵の森
この地を、ふるさとの森として永代にわたり、のこすことになりました。
住民の努力と、東村山、所沢両市の英断、全国から寄せられた応援のたまものです。
この森がさらに豊かに深く育ち、人の心を支え、木や草、鳥や虫達のすみかとなることを、願ってやみません。1996年
ジブリの森へ 高畑勲・宮崎駿を読む 映像の「背後にある思想」をとらえ、ジブリアニメを読み解く視点と批評眼を提供する。新たに『となりのトトロ』・『ハウルの動く城』論を加え、巻末の関連年表・ブックガイドも大幅に更新した増補版。 |