第51回アニー賞で、『君たちはどう生きるか』はキャラクター・アニメーション賞とストーリーボード賞を受賞しました。
キャラクター・アニメーション賞とは、文字通り生命を吹き込まれたキャラクターを評価したもの。
3DCG全盛の時代に、手描きアニメーションが最優秀作品に選ばれたことは、意義深いものを感じます。
ロサンゼルスで開催された授賞式には、作画監督を務めた本田雄さんが出席し、スピーチを行っています。本田さんの日本での愛称は「師匠」ですが、世界の師匠になりました。
本田雄スピーチ
本田:
ちょっと緊張しすぎてゲロを吐きそうです(笑)。かれこれ、この作品は7年かかったんですけど、宮﨑さんはたぶん当初3年くらいで作り終えて、自分の人生を幕にすると思っていたと思うんです。
隣同士で机を並べて仕事をしていたときに、宮﨑さんは『仰げば尊し』をよく歌っていました。例えば、屋上にあがって「本田さん、夕焼けがすごく綺麗ですよ。一緒に見に行きましょう」とか言ったりとかして、すごく名残惜しそうな、残りの人生を目に焼き付けよう、という感じの発言がよくあったんです。
ただ、こともあろうに7年もかけてしまって、それで宮﨑さんもまだ生きてるんですよ。宮﨑さんの中では、人生の予定が狂ってしまったらしいんです。
で、宮﨑さんは予定が狂ってしまって退屈しているので、次の作品に取り掛かってくれるものだと、ぼくも信じています。そのときは、ぼくも力になりたいと思っています。
最後に、この作品にかかわってくれたスタッフと、宮﨑さんと鈴木さん、あと観に来てくれた、支援をいただいた方たちに感謝の言葉を述べたいと思います。ありがとうございました。