風立ちぬ

「新千歳空港国際アニメーション映画祭2016」にて、宮崎駿監督の『風立ちぬ』が北海道・ソラシネマちとせで、11月6日に上映されました。
あわせて「アニメーションの音を聴く vol.1」と題したトークイベントも開催。スタジオジブリのラインプロデューサー古城環さんと、同作で音響を担当した笠松広司が出席しました。



『風立ちぬ』について古城さんは「最初は、宮崎さんから『効果音は全部人の口で表現してほしい』という要望があったんです」とコメントし、多くの効果音を肉声で表現した笠松は「長編をやるにあたって、口の音だけで全部成立するのか?という思いがあり、20分くらいのデモ版を作ってみたんですよ。試みが新しすぎて難産でした……」と明かしました。

古城さんが「これはうまくいったんじゃないかという音は?」と尋ねると、笠松さんは「冒頭の、子供時代の二郎君が飛行機に乗ってエンジンをかけてふわっと飛んでいくシーン」と回答。さらに「あの場面を形にできたときに、『風立ちぬ』は成立できるかもとほっとしました。あそこでコケていたら『全部実音にしませんか?』と僕が折れたかもしれない(笑)」と述べ、「口じゃなくても自分の体で出せる音だったらセーフっていうマイルールがあって、爪や骨を鳴らしたり、歯をカチカチやったりしたんです。実音でやれば楽なんでしょうけど、体を叩いて低い音が出るところを探しました。録音している姿は人には見せられないですよね(笑)」と試行錯誤を繰り返した制作時を振り返っています。