本日、宮崎駿監督と児童文学者の中川李枝子さんの対談が行なわれました。
宮崎監督が公の場に姿を見せたのは昨年9月の引退会見以来のこと。中川さんの代表作「ぐりとぐら」が昨年、刊行から半世紀を迎えたことで版元の福音館書店が企画した。中川さんは「となりのトトロ」の主題歌「さんぽ」の作詞を手がけるなど、宮崎監督と親交が深かった。



ふたごの“のねずみ”「ぐりとぐら」が1963年に月刊絵本『こどものとも』から誕生して50年の節目を迎えたことを記念。中川氏は、宮崎氏の監督作『となりのトトロ』の楽曲「さんぽ」の作詞でも知られ、互いに親交が深いことから、この日の特別対談が実現した。

宮崎氏は1962年に福音館書店から『いやいやえん』が出版された当時、「衝撃だった。アニメーションにしたいと思いました。当時はまだ学生でしたけど、アニメーターになるとも決めていなかった頃にそう思いました」と回顧。実際に宮崎氏は、『いやいやえん』の第二話を原作とする短編アニメーション映画『くじらとり』を三鷹の森ジブリ美術館用に製作(2001年公開)している。

さらに「僕たちがファンタージーを作ると、冒険に出て、いろんなことを経験して、賢くなって、成長して帰ってくる。そんなの嘘ですよね(笑)。子どもがそんな簡単に成長するわけがないというのを教えてくれたのが中川さんの作品だった。子どもは同じ間違いを繰り返すし、それをしていいのが子ども時代であって、そんな子どもそのものの姿が描かれているのが『いやいやえん』や『ぐりとぐら』だと思う」と作品の魅力を熱弁。

中川氏に対しても「(『ぐりとぐら』で)大きな卵と出くわして、カステラにして食べちゃおうと発想するのは中川さんだけ」といい、「中川さんは別格官幣社」と最大級の賛辞を送った。別格官幣社とは、旧制度の社格の一で、国家に功績のあった人をまつる神社のこと。

そんな宮崎氏の言葉に、中川氏は照れもおごりもなく、「目の前にいるかわいい子どもたちを喜ばせたいと思って、(当時は高級品だった)カステラを作ろう。でも、私は欲張りで子どもたちをびっくりさせたい気持ちもあるから、卵は大きくしよう。そうやって生まれたのが『ぐりとぐら』。『いやいやえん』は子どもたちがするお話から生まれた傑作です」などと、当時を懐かしみながらも小気味よく語った。両者の対談は、子どもたちに向けられた温かい眼差しが感じられ、時折、笑いも起こるなごやかな雰囲気で、約800人の聴衆を楽しませた。

最後に、長年にわたって創作活動を続ける一方で、保母として働き、直に子どもたちと接してきた中川氏は「子どもの問題が社会を賑わせていて、ひどい目にあっている子も多すぎるんじゃないかと胸を痛めている」と最近の子どもたちを取り巻く環境を憂慮。「日本には『児童憲章』というものがありまして、児童は、人として尊ばれる。児童は、社会の一員として重んぜられる。児童は、よい環境のなかで育てられる。この三原則を守ってほしい」と訴えていた。

50周年の『ぐりとぐら』は、昨年11月に『てんじつき さわるえほん ぐりとぐら』(福音館書店)も刊行されるなど、いまだ“現役”で子どもたちに愛され続けている。そんな50周年の集大成として、『ぐりとぐら展』が東京・松屋銀座(2月27日~3月10日)を皮切りに全国6ヶ所を巡回することが決定。大人も子ども楽しめる貴重な資料や原画の展示などを行う。

いやいやえん
著者:中川李枝子
主人公しげるが通う保育園のお話が5話収められている。短いお話も長いお話もあり、好きなものから読める。また、絵も多いため、簡単に読み進めることができる。

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