『かぐや姫の物語』の製作する高畑勲監督を追ったドキュメンタリィ番組「高畑勲、『かぐや姫の物語』をつくる。ジブリ第7スタジオ、933日の伝説」が、12月にWOWOWで放映されます。
約2年半にわたり、製作現場を撮影。表舞台に出てくることの少ない高畑監督の考え方や仕事ぶりを知ることのできる貴重な番組になる。
宮崎駿監督(72)の盟友にして最大のライバル・高畑監督が14年ぶりに送り出す「かぐや姫の物語」の製作過程が明らかになる。タイトルの「第7スタジオ」は、今作のために新設されたスタジオ、「933日」は、現場にカメラが入った2011年5月5日から公開日までの日数だ。
鈴木敏夫プロデューサー(65)によると「作り手が都合のいい部分だけを切り取るので、映像の取材は慎重になる」という高畑監督は、長期密着と聞いて撮影を了承。WOWOWは公開直前まで撮影、編集作業を続けるため番組の詳細内容は決定していないが、次のような“知られざる高畑監督”を明らかにする。
《1》新しい表現の模索
「ホーホケキョ となりの山田くん」(99年)でも“アニメの革命”を目指した高畑監督。今回もアニメーターの精鋭がそろう中、「アニメーション映画の一部に実写映画がある」という信念のもと製作が行われたが、自身の中にある構想が描き手に伝わらない。その苦悩と解決への道筋が映し出される。
《2》絵へのこだわり
高畑監督は他のアニメ監督と異なり、絵を描かない。鈴木プロデューサーはそれを「自分が描くと、やれる範囲で収まってしまう。他人に“描かせる”ことで、革新的なものが生まれるから」と話す。納得いくまでレベルの高い注文をするため、製作がストップすることも。番組では、作業の遅延を発表する高畑監督の苦渋も見られる。
《3》プレスコ(プレ・スコアリング)の様子
高畑監督作品の特徴でもある、映像の完成前に声を収録し、それに合わせて絵を描く手法。今作も、収録は2011年8月に行われた。「口の動きがぴったり合うことで、キャラクターに命を吹き込むことができる」との考えで、姫の声を担当した女優・朝倉あき(22)や、昨年6月に亡くなった翁(おきな)役の地井武男さんに演出をつける高畑監督の姿を見られる。音楽を担当した久石譲氏(62)が「歴史に残る作品になるよ!」と思わず口にしたという「かぐや姫―」の製作風景。番組は12月6、13日、いずれも午後10時から放送される。
映画を作りながら考えたこと 著者:高畑勲 27年間、宮崎駿とコンビを組んで来た「高畑アニメ」の舞台ウラ。 |