『風の谷のナウシカ』で、ナウシカが乗る愛機「メーヴェ」をモデルにした超軽量小型飛行機が、北海道滝川市で開かれるイベントで展示されました。制作したのは東京の芸術家、八谷和彦さん。「キーン」というジェットエンジンの音を響かせながら、カモメに似た形の飛行機がふわりと飛び上がる。ヘルメットをかぶった八谷さんが機体の上にうつぶせで寝そべり、微妙な体重移動で操縦する。
「ナウシカのメーヴェを作ってみたい」。八谷さんのそんな夢が出発点だった。模型やグライダーの製作を経て、08年に現在の小型ジェットエンジンを搭載した機体を開発した。ナウシカのメーヴェにもエンジンがあるが、風に乗って滑空するのが基本。これに対し、八谷さんのメーヴェは常にエンジンを動かす。最終的には高度100~200メートルでの飛行を目指す。
「M―02J」。そう名付けた飛行機は幅9・6メートル、全長2・7メートル、重さ89キロ。操縦法も独特だ。機体上に腹ばいになったパイロットが、前後左右に体重移動することで機首の昇降や左右の旋回を行う。世界でただ一つの乗り物である。
当初は5年ほどで完成すると考えていたが、10年以上かかる大がかりな計画になった。かかった費用も1億円弱に上る。八谷さんが仲間と一緒に設立した会社の研究開発事業と位置づけ、そこから資金をまかなうなどした。来年までには、もう少し高く飛んで計画を完結させる予定だ。その後は、海外も含めて各地で機体を見せたいという。
ナウシカの飛行具、作ってみた 発想・制作・離陸
メーヴェが飛ぶまでの10年間
なぜ、どのように、架空の一人乗り機”メーヴェ”を実現させたか。10年をかけたプロジェクトの全容。
メールソフト「ポストペット」の生みの親であるメディアアーティストがオープンスカイ・プロジェクトを始動させたのは37歳の時。宮崎駿監督が「風の谷のナウシカ」で描くナウシカ愛機 “メーヴェ”を、自分の手で作ってみたい……最初は模型、次に実寸サイズの機体を制作し、ゴムで引っ張るグライダーでの飛行訓練を経て、ようやくジェットエンジンで飛翔するまで。
目次
第1章 プロジェクト始動/第2章 グライダー機を飛ばす/第3章 舞台裏/第4章 ジェットエンジン搭載/第5章 宇宙と空と