先日の『思い出のマーニー』声優発表記者会見で、宮崎駿監督が『思い出のマーニー』のポスターにご立腹であることが、西村プロデューサーから明かされました。
「いま、ポスターがスタジオ中に貼られているんですが、宮崎(駿)監督はそれを見て怒っていますね(笑)。『いまどき、金髪の女の子で、お客さんの気を引こうなんて古い!』って。別に気を引くためじゃないんですけど」(スタジオジブリの西村義明プロデューサー)。



昨年末にタイトルが発表され、今週にはWヒロインを演じる声優陣・主題歌・公開日などが情報解禁され、がぜん注目度が増したスタジオジブリ最新作『思い出のマーニー』(米林宏昌監督)。本作は同スタジオの世代交代を鮮明に打ち出すという位置づけにおいても、見逃せない作品になりそうだ。

大ヒットを記録した『風立ちぬ』を最後に、宮崎駿監督が長編アニメーションからの引退を表明。盟友である高畑勲監督は14年ぶりとなる新作『かぐや姫の物語』を完成させるなど、まさに“ジブリイヤー”となった2013年。それは同時に、ジブリが新時代を迎える象徴的な瞬間でもあった。

西村氏は「その一つ目の挑戦が『思い出のマーニー』です」と断言する。本作はジブリの長編作品において、初めて宮崎&高畑両監督が一切関わっていない作品だ。企画が立ち上がったのは、『風立ちぬ』の製作期間中で、アニメーターとして参加していた“麻呂さん”こと米林監督が「自分に映画を撮らせてほしい」と名乗り出たことがきっかけだったという。

映画はイギリスの作家ジョーン・ロビンソンによる同名児童文学を原作に、海辺に暮らす親せきに預けられることになった少女・杏奈と、海辺に佇む“湿っ地屋敷”に暮らす金髪の少女・マーニーがひと夏を過ごし、ある秘密を分かち合う姿を描く。

「米林監督が最も時間をかけて、集中して取り組んでいるのが、杏奈とマーニーの繊細なやりとり。鈴木さん(鈴木敏夫プロデューサー)は、『これは宮崎さんじゃ作れない』と言っている。きっと麻呂さんも、杏奈というヒロインに現代性を感じているはず」(西村プロデューサー)。

(略)

ちなみに、宮崎監督が「怒っている」という劇場用ポスターは、米林監督によるイメージスケッチ。ミステリアスな雰囲気を漂わせながら、凛とした瞳でこちらを見つめるマーニーの表情が印象的だ。彼女の視線の先に広がるのは、まだ見ぬスタジオジブリの未来かもしれない。