kotoba(コトバ) 2017年冬号12月6日発売の、集英社『kotoba(コトバ) 2017年冬号』に、鈴木敏夫プロデューサーのコラムが掲載されます。
雑誌『kotoba』は、毎号特集テーマを設け、さまざまな識者に論じてもらう言論誌。鈴木さんは、「うらめしや、その美しさ。伊藤晴雨の幽霊画に“あの世”を見る」と題し、画家の伊藤晴雨を語ります。



鈴木さんは、毎年夏に全生庵を訊ね、幽霊画を楽しむのが恒例行事となっているそうです。その折に、見慣れぬ伊藤晴雨の幽霊画を見つけ、虜になったと語っています。

鈴木:
晴雨になぜ、ぼくは心惹かれたのか。ひとことで言うと、晴雨の巧みな筆捌きに魅了された。真っ白な紙に筆を置いて、すっと書き下ろす。濃い薄い、速いゆっくりは書きながら瞬時に判断する。その思い切りの良さ。見ているだけで、何物にも代え難い快感がある。それは鳥獣戯画の実物を初めて見たときの興奮に似ていた。

『kotoba(コトバ) 2017年 冬号』目次

巻頭言
荒俣 宏 蒐集家は孤独に生きる
小林康夫 ベンヤミンが捉えた蒐集――「深遠な魔法」

Part1 なぜ集めるのか
奥本大三郎 博物学の蒐集は世界の謎を深める
篠田航一 ヒトラーの略奪美術館と美術館建設の野望
白幡洋三郎 植物収集の歴史を繙く
春日武彦 どのような心性が人を蒐集へと駆り立てるのか?
小宮正安 圧倒されるカオスな魅力
太田泰人 ジョゼフ・コーネルの箱のなか
大沼 隆 ノアが集めた清くないものとは何か

Part2 パブリックな収集
石毛直道 世界的に珍しい博物館「みんぱく」のコレクション収集法
仲俣暁生 デジタル化で公開される人類の英知の宝庫 ヴァチカン教皇庁図書館
谷 晃 近代数寄者たちは、大名茶道具をどのように集めたのか?
寺島洋子 ル・コルビュジエが夢見た「無限成長美術館」
原 健人 すべてを鉄道模型に捧げた男

Part3 個人の愉しみ
鹿島 茂 独裁者のイコンが語るコレクションの真髄
清水 節 ギレルモ・デル・トロ監督の悪夢と恐怖の屋敷「荒涼館」
みうらじゅん 自分を洗脳して蒐集する
石黒敬章 「人より先にものを見る」
鈴木敏夫 うらめしや、その美しさ。伊藤晴雨の幽霊画に“あの世”を見る
田中 栞 武井武雄刊本作品を買う
烏兎沼佳代 蒐集家・野村胡堂とあらえびす

新連載
角幡唯介 冒険論
浜 矩子 通過という不思議
井出英策 新自由主義と僕たちの自由
ほか

kotoba(コトバ) 2017年 冬号
特集「蒐集家の悦楽」
発売日:2016年12月6日(火)
価格:1440円(税込)

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