本日、「文春ジブリ文庫」より『ジブリの教科書6 おもひでぽろぽろ』が発売されました。
製作当時の現場の様子や、スタジオジブリが誇る美術スタッフによる美しい背景画も多数収録。日本のアニメーション表現に新たな地平を開いた不朽の名作を徹底的に解剖します!
大人の女性が少女時代の自分を振り返りながら、自分のこれまでの生き方を見直すという単純な構成にみえて、『おもひでぽろぽろ』は、実はいくつものテーマを内包しています。現在と過去、都市と地方、夢と現実、自然と人間、大人と子ども、男と女、そして成熟と喪失……。
一筋縄ではいかない不思議な物語をナビゲーターとして読み解くのは、独特の世界観で紡ぐ映像世界が高い評価を受けている映像作家の岩井俊二監督。タエ子とトシオのロマンスの正体を、恋愛小説のトップランナーならではの目線で喝破する村山由佳さん、娘と父という家族の物語を分析するのは、精神科医の香山リカさん、さらに『かぐや姫の物語』でかぐや姫役を演じた女優の朝倉あきさんは、「もっとも好きな映画」と、作品への思い入れを熱く語ってくれました。
ジブリの教科書
おもひでぽろぽろ目次
ナビゲーター・岩井俊二
ノスタルジーの正体
Part1 映画『おもひでぽろぽろ』誕生
新生ジブリと『おもひでぽろぽろ』
鈴木敏夫 高畑勲と宮崎駿。二人の巨匠の「分かれ道」
宮崎 駿 大ナマケモノの子孫
映画『おもひでぽろぽろ』演出ノート
・viewpoint・香山リカ
「あいまいな娘」と複雑な父親の存在
Part2 『おもひでぽろぽろ』の制作現場
[美術監督] 男鹿和雄
「どこにでもある風景を、緊張感のある画面で」
紅花──その歴史的な魅力を探る
[キャラクター色彩設計] 保田道世
「思いきって真っ白な画面に挑戦してみた『思い出編』」
[キャラクターデザイン・作画監督] 近藤喜文
「人間の顔の微妙な曲面と必死にとり組んだ日々」
[場面設計・絵コンテ] 百瀬義行
「細やかな表情や動作のなかに“その人らしさ”をこめたい」
[撮影監督] 白井久男
「高畑監督の粘りある演出のもとで仕事がしたかった」
「作画」の流れ 一枚の絵コンテが動き出すまで
今井美樹・柳葉敏郎スペシャルインタビュー
[監督] 高畑 勲
反響の大きかった映画 意見の分かれたラストシーン
高畑 勲の音楽のはなし
ぽろぽろ事典
映画公開時の掲載記事を再録!
Part3 作品の背景を読み解く
村山由佳 人の手業が超えるもの
朝倉あき 冷静な視線と、冷静さを保てなくなる瞬間
from overseas
イグナシオ・フェレーラス
『おもひでぽろぽろ』について私が思うこと
伊藤 悟 「ひょうたん島」が寄りそってくれた時代
川崎賢子 『おもひでぽろぽろ』の記憶と想像力
──文化映画の系譜に連なることと踏み越えること
山田太一×高畑 勲 これからの時代を切り開いてゆくヒント
大塚英志 『おもひでぽろぽろ』解題
出典一覧
映画クレジット
高畑 勲プロフィール
ジブリの教科書6 おもひでぽろぽろ 私はワタシと旅にでる。――27歳と小学5年生の自分との間を行き来しながら、タエ子は何をみつけるのか、岩井俊二らが読み解く。 |