宮崎吾朗 カンヌ国際映画祭

フランスで開催されている「第77回カンヌ国際映画祭」で、スタジオジブリに対して長年の映画界への貢献をたたえる「名誉パルムドール」が授与されました。



「名誉パルムドール」は、これまで監督や俳優に与えられてきましたが、今回は初めて団体に授与されました。

授賞式では、宮﨑駿監督と鈴木敏夫プロデューサーによるビデオメッセージと、ジブリ美術館の短編作品『めいとこねこバス』『やどさがし』『パン種とタマゴ姫』『毛虫のボロ』の4本が上映されました。

また、式典に出席した宮崎吾朗監督はトロフィーを受け取り、喜びと感謝のコメントを述べました。

宮崎吾朗 受賞コメント

宮崎吾朗:
ボンジュール。こんにちは、宮崎吾朗です。
今日、この場に呼んでくださっとことをジブリのスタジオと、ジブリ美術館とジブリパークですね、すべてのジブリを代表して感謝を申し上げます。

先日、アメリカで『君たちはどう生きるか』がアカデミー賞を受賞しまして、その場に行った人間たちがオスカーを日本に持って帰ってきました。
そのときに、ぼくは初めて知ったんですけども、オスカーってケースに入ってないんですよ。なので、渡米したジブリの人間は、ホテルのタオルでオスカーを包んで、東京まで持って帰ってきました。
パルムドールは、ちゃんとケースに入っていて良かったなって思いました。

少し真面目な話をさせていただいて良いですか。
スタジオジブリは今から40年前に、高畑勲、宮﨑駿、鈴木敏夫、この3人によって作られました。
それから40年、スタジオジブリはたくさんの映画を作るとともに、ジブリ美術館を建設・運営し、そしてジブリパークという大きな施設も建設・運営を始めています。

創業者3人の功績は、まったく疑うところではありませんけども、これだけたくさんの仕事をやってこれたのは、ほんとうにたくさんのスタッフの献身あってのことだと思います。
ですので、私は今日そのスタッフたちに感謝するとともに、喜びを分かち合いたいと思います。

それと同時に、今のジブリがあるのは、スタジオだけの努力では成し遂げられなかったと思います。
たくさんの世界中の人たちがジブリを支えてくれて、世界中のファンたちがジブリを愛してくれたからこその、今回の賞だと思います。

今日、この賞をいただけたのは、この先40年もスタジオジブリは頑張れよっていう、そういうメッセージかなって思いました。
頑張れると良いなと思いつつ、ほんとうにありがとうございました。

宮﨑駿・鈴木敏夫 ビデオメッセージ

式典では、宮﨑駿監督と鈴木敏夫プロデューサーのビデオメッセージも上映され、ふたりの掛け合いに会場が沸いていました。

鈴木:
カンヌ国際映画祭で、「名誉パルムドール」って賞をいただくことになりました。

宮﨑:
はい。

鈴木:
それで、いつもだとこの賞は個人なんですよ。だけど今回は、ジブリっていうスタジオにそれをくれると。貰えることになりました。ありがとうございます。宮さんもお願いします。

宮﨑:
よくわかっておりませんが、ありがとうございます。

鈴木:
で、ジブリから代表して、宮崎吾朗くんが行ってます。

宮﨑:
気の毒です。

鈴木:
カンヌ国際映画祭っていったら、映画だけだったんですけど、今回はジブリパーク、そして美術館も入ってるんですよ。賞の対象が。
そして初めて、ジブリ美術館の短編、これを4本上映します。
それで上映するのが、『めいとこねこバス』『やどさがし』『パン種とタマゴ姫』『毛虫のボロ』。これを吾朗くんが選びました。
まえから宮さんも外国で上映して、その評価を聞いてみたいって言ってたんですよ。

宮﨑:
そんなこと言ってないけど。

鈴木:
そんな……、ほんとに言ってたんですよ(笑)。
それでぼく、ちょうどよくいろんな映画祭に声をかけたんですよ。

宮﨑:
それで断れたんですよね。

鈴木:
そう、でも今回初めて、上映してもらえることになりました。

宮﨑:
まあ、いいですね。

鈴木:
というわけで、吾朗くんが代表して行ってますんで。

宮﨑:
はい、気の毒ですが頑張ってください。

鈴木:
とにかく今回、名誉パルムドールっていうのをいただくことになりました。
ほんとうに、選んでくれた方たちに感謝したいと思います。

宮﨑:
どうも、ありがとうございます。