庵野秀明監督が企画を務めた、「館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」が11月1日より名古屋市科学館で始まりました。
29万1575人を動員した東京都現代美術館を皮切りに、松山、長岡など各地を沸かせた本展。4箇所目となる名古屋市科学館で行われたオープニングセレモニーでは、体調不良の庵野秀明館長に代わって樋口真嗣副館長が登壇。本展で上映される『巨神兵東京に現わる』制作にまつわる話を語りました。
樋口監督は、初の科学館での開催に「特撮を語る上で地続きに楽しい場所になりました」と語り「最高のものができたと自負しております!」とその出来栄えに太鼓判を押した。
続くトークショーでは樋口副館長に加え、ミニチュアの修復師兼展示コーディネーターの原口智生(代表作『さくや妖怪伝』『デスカッパ』)、美術監督の三池敏夫も登壇。原口氏が「『特撮のミニチュア美術館みたいなものができたらいいな』という僕の思いつきを庵野館長が企画展というカタチにしてくれた」と開催の経緯を明かし、登壇できなかった庵野館長を気遣う場面も。
一方、副館長を務める樋口監督は会場で上映される『巨神兵東京に現わる』の監督も担当。庵野館長が『風の谷のナウシカ』でこの巨神兵の原画を担当していたことから、使用許可はふたつ返事で降りたものの、そこからが大変だったと明かす。「ゴジラやウルトラマンは中に人が入って動かすことができるけど、巨神兵はそれができないプロポーション(体型)で、思わず『これCGでやったほうが早い』と喉まで出かかりました。常識的に考えたらCGなんですけど、企画趣旨としてはそれができない。だから随分悩みました。(ジブリには)もっと人が入りそうなプロポーションの大きな生き物がいるじゃないか、毛むくじゃらな」と本音を漏らし場内を爆笑させる場面も。「でもやったことのないことを試行錯誤して、上手くいった時に出る“変な汁”がね、その場にいる全員から立ち上る瞬間があるんです。それがあるからやめられないんです」と特撮の魅力を語った。