『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:Q』の放送と合わせて、『巨神兵東京に現る』も放送されるようですね。
こちらの作品は、「館長庵野秀明 特撮博物館展」で上映するために企画された特撮短編作品です。『ヱヴァ Q』の劇場公開時にも、同時上映されていました。
確か、こちらの作品はオープニングでジブリのロゴが現れることと、「巨神兵:宮崎駿」とクレジットされていることで、劇場公開時は宮崎駿監督作品と勘違いされたりしていました。
しかし、企画が庵野秀明で、監督は樋口真嗣の作品です。「巨神兵:宮崎駿」のクレジットは、とても面白いですが、何もかかわっておりません。
「特撮博物館展」の開幕式で、『巨神兵東京に現わる』作成の経緯を、庵野監督と鈴木敏夫プロデューサーが話しています。
特撮映画の話が出てから宮崎駿に許諾を得るまで、5分程度で決まった企画
庵野:
『巨神兵 東京に現る』も、ぼくの思いつきで。パッと言葉が浮かんだんで、それを口にしただけなんですけど、そのまま思いつきが樋口監督のお陰で、素晴らしいフィルムになってまして。実際には、フィルムではなくてデジタルなんですけど、ほんとに素晴らしいものになってます。
鈴木:
誰が言い出したんだか。ほんとうは、新たに今の特撮の技術を使って、短くてもいいから映画を作ったほうが良いんじゃないかって。こんな話が持ち上がったんですよ。
この話が出たのが、ジブリの中で打ち合わせをしていたとき。それで、唐突に彼が(庵野)「巨神兵で作ったらどうか」と。
それで、「どういう内容なの?」と言ったら、「東京を破壊するんだ」ということになって。「じゃあ、『巨神兵 東京に現る』だね」と。
それで、ジブリの中で打ち合わせをしていたので、じゃあ、宮崎監督がいるから、そこへ行って許諾を貰おうよと。それで、二人でテクテクと、3分もかかんないんですけど、宮崎監督のとこに行って、「これこれ、こういうわけで、『巨神兵 東京に現る』って映画を庵野が作りたいっていうんですけど」って、宮崎駿に話したらですね、ハッと顔を見上げてね、「いいよ」って。ただ、ひとつだけ、「ナウシカはダメだよ、ナウシカは」って。たしか、こんないきさつで始まったと思います。
つまり、特撮映画を短くてもいいからやろう、って話が持ち上がって、宮崎駿から許諾を得るまで、たぶん、5分から10分くらいですかね。そのぐらいで決まりました。
この『巨神兵 東京に現る』、まだ宮崎駿に見せてないんですよ。ポスターは見せました。ぼくの部屋に貼っておいてね。彼はよく来ますからね。
で、どういう反応するかなと思ったら、最初のうちは気が付かないフリしてたんですよ。そしたら、3回目ぐらいに、ふっと横向いて、クスっと笑ったんで、「あ、デザインはこれでOKかな」と(笑)。
それで、問題は内容なんですよね。これ、なんで問題なのかというと、自分のものを他人に提供する。それが映像になるというときに、手を叩いて素晴らしいなんていう監督は存在しないんですよ。
監督というのは、たいがい「これは、違う!」と、頭にくるもんなんです。そんなことがあるもんですから、彼にどうやって見せようかと。
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