猫の恩返し

ジブリ作品の『猫の恩返し』ですが、この作品はアニメーション化を前提に描かれた漫画が原作となっています。
それは、柊あおいさんが描いた『バロン 猫の男爵』といって、宮崎駿さんが執筆依頼したものです。



宮崎駿の要望はバロン・ムタ・地球屋を出すこと

この原作を依頼するにあたり、宮崎さんが要望したことは、バロンとムタを登場させること。この2点でした。

すると柊さんは、全編ファンタジー世界の迷宮「ブバスティス」を舞台に、バロンとムタが活躍する物語のプロットを作りました。
しかし、ファンタジーだけというのは面白みに欠ける、と言って宮崎さんは地球屋を出すことを要素として追加し、話の導入として入り込みやすいよう現実世界を出してほしいと要望します。そして、様々は過程を経て、完成したのが『バロン 猫の男爵』でした。

この企画自体は、テーマパークのイメージキャラクターと、20分程度の短編アニメーションの制作依頼がジブリに来たことから始まります。
最終的に、このテーマパークの話は頓挫してしまうわけですが、アニメーションの企画だけは生き残ります。

「やるって言いなさい。男の子らしく」

監督を務めたのは、本作が長編デビュー作となった、森田宏幸監督です。

当時、宮崎さんは若手に監督を登用させたいと考えており、このときジブリ美術館の短編作品『コロの大さんぽ』の原画を担当していた森田宏幸さんに、原作漫画のラフ原稿を渡し、「これやる? やるって言いなさい。男の子らしく」と迫ったことで決まりました。

作品の内容などもわからず引き受け、不安もあったそうですが、当時の森田監督は演出をやりたいと思っていたため、断る権利などないと考えていたそうです。

そして、企画を進めるにあたり、20分程度の予定だった短編は、脚本や絵コンテなどを作るうちに、徐々に長くなっていって、最終的には75分の劇場用作品となりました。
しかし、75分の上映時間では劇場作品としては若干短いため、百瀬義行監督の『ギブリーズ episode2』と同時上映で公開されています。

興行収入は、64億8000万円の大ヒットで、2002年の邦画で1位になりました。

ちなみに、企画の初期段階では、細田守版の『ハウルの動く城』と同時上映される予定だったんですよ。

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