宮崎吾朗監督の新作『アーヤと魔女』のビジュアルが公開され、国内外で大きな反響となっているようです。
やはり、なんといっても、スタジオジブリ作品で3DCGのビジュアルで作ったという、予想外の展開が大きな要因ではないでしょうか。
スタジオジブリ作品では、これまでに何度も3DCGは使用していますが、常にセルアニメーションのテイストで作られていました。
宮崎吾朗監督作品においても、『山賊の娘ローニャ』では全面3DCGで制作されましたが、セルルックに変換されています。
今回の作品も、事前にフル3DCGで作られていることが公表されていましたが、これまでの経緯からセルルックになるものだと予想されていました。
ところが、公開されたビジュアルは、ピクサーのようなバリバリの3Dキャラクター。このことに、賛否ありの大きな反響となっています。
SNSで反響を見た限りでは、日本のジブリファンは予想の斜め上からきたビジュアルに、驚いている人は多いようですが、期待を持って見守っているように見受けられます。
その一方、海外のジブリファンからは否定的な意見が多いように感じました。
「3Dを観るならディズニーやピクサーで充分」
「ジブリには2Dを貫き通してほしかった」
「日本の2Dアニメが好きなのに」
などなど。
海外では3Dルックのアニメーションが主流となり、今では2Dアニメーションは少数派になりましたけど、根強い人気があるのだなと思いました。
しかし、伝統工芸品的な位置づけなのかな、という気もします。
伝統工芸が悪いわけではなくて、もちろん素晴らしいですし、日本の2Dアニメーションも残してほしいですけども、世界をマーケットに考えたときに主流となっている3Dのビジュアルで出来る表現も知っておく必要があったんじゃないでしょうか。
だからといって、今後吾朗監督はずっと3Dビジュアルで作り続けるのかというと、そうとは限らないように思います。
今回の『アーヤと魔女』の反響や、自身で感じた手応え次第で、この先セルルックにするか、3Dビジュアルでいくか、方向性を決めるんじゃないでしょうか。
今回の『アーヤと魔女』は、NHKで放送されます。
劇場作品ではないことと、90分未満の作品ということを考えても、けっこう実験的な意味合いが強いように感じました。
ちなみに、スタジオジブリがテレビ作品を作ったのは、1993年5月5日に日本テレビ系で放送された『海がきこえる』以来となります。このときも、ジブリの若手スタッフを中心として、ジブリの代名詞でもあるファンタジーを封印して、学園モノの物語を作るという実験的要素の強い作品でした。
今回、『アーヤと魔女』の3Dビジュアル化を提案したのが誰かは知りませんけど、もしかしたら鈴木さんかな、という気がします。
そもそも、1番最初に吾朗監督に3DCGでの制作を推薦したのは鈴木さんですし、東南アジアで作ることを提案したのも鈴木さんです。
鈴木さんは、モノヅクリが商売として成立することを考えているので、今回もご多分に漏れずではないでしょうか。
吾朗監督には、3DCGの演出を牽引していってもらいたいですね。
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