『なつぞら』第17週となって、東洋動画のテレビアニメーションがついに放送までこぎ着けます。さらには、雪次郎くんに焦点が当てられた『ゆきぞら』の演劇物語も展開していきます。
さまざまな登場人物のさまざまな物語が同時進行していくという濃い内容になった第17週でした。
第97話「テレビアニメ『百獣の王子サム』の始まり」
第97話で、舞台は昭和38年(1963年)となります。なつは女性アニメーターの先駆けとして、雑誌「週刊文夏」から取材を受けます。これは、なつのモデルとされる奥山玲子さんが実際に1963年7月22日号「週刊文春」で、女性アニメーターのパイオニアとして紹介されていることをなぞっています。服装もかなり寄せたものになっていました。
なつのモデルとされる奥山玲子さんも、1963年の「週刊文春」で女性アニメーターのパイオニアとして紹介されています。その記事は、現在も文春のサイトで読めます。
なつが取材を受けている時の服はノースリーブですけど、この時の奥山さんに寄せていると思います。#なつぞらhttps://t.co/JsC9VkYLkL pic.twitter.com/P5JeM6AQk8— ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 (@ghibli_world) July 21, 2019
そして、東洋動画では『鉄腕アトム』の影響を受けて、テレビアニメーションを作ることになりました。その作品は、『百獣の王子サム』という企画。ライオンに育てられた子供がジャングルで活躍するというストーリー。これは、東映動画で初めて作ったテレビ用作品の『狼少年ケン』をモデルにしているようです。
東洋動画の初となるテレビアニメーションは『百獣の王子サム』ですが、史実の東映動画では初のテレビ用作品として『狼少年ケン』が作られました。本作の企画を提出したのは、月岡貞夫さん。
高畑勲さんは演出として参加し、奥山玲子さんは作画監督を務めています。#なつぞら pic.twitter.com/VflR3OpAfD— ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 (@ghibli_world) July 21, 2019
第98話「労働組合幹部の坂場くん」
第98話では、東洋動画ではテレビアニメーションに進出することになり、テレビ班にはなつや茜さんに加え、演出から坂場くんが参加することになります。
このころのテレビアニメは『鉄腕アトム』が大人気となっています。しかし、この作品は毎週放送するために制作費や時間を削減するためリミテッドアニメーションといって、3コマ撮りや止め絵・画の流用などを多用してテレビ向けに省力化して作られました。一方、東洋動画はフルアニメーションのリアルな動作を追求した表現で作ってきたので、坂場くんは省力化した制作方法に疑問を呈します。
坂場くんは「もう長編ができない」と落ちこみ、短編の『ヘンゼルとグレーテル』がまだ公開されていないことを嘆きます。しかし、なつが取材を受けた雑誌では、昭和34年に公開されていることになっていましたよ(笑)。さてさて、東洋動画のテレビアニメーションは、どのような展開となるのでしょうか。
今日の『なつぞら』第98話で、なつたちが作った短編の『ヘンゼルとグレーテル』はお蔵入りにされていて、まだ公開されていないとイッキュウさんが言ってますけど、なつが紹介された雑誌の「週刊文夏」では昭和34年に公開されていることになっています。笑#なつぞら pic.twitter.com/DTVohiObPj
— ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 (@ghibli_world) July 23, 2019
それから、坂場くんは労働組合の幹部を務めていることがセリフで明かされていました。ドラマ内で組合活動の内容が再現されることもあるかと思いましたけど、セリフのみの表現に留めるのかもしれないですね。
坂場くんは労働組合に参加しているようですね。
史実でも昭和36年に東映動画では労働組合が結成されています。過密労働と低賃金の改善のほか、東映本社が企画権を握り作品の企画と制作が制限されている状況を打開したいという要求がありました。高畑勲監督や宮崎駿監督も参加していました。#なつぞら pic.twitter.com/ap2A7RjdLz— ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 (@ghibli_world) July 22, 2019
第99話「テレビアニメーションの表現」
第99話では、東洋動画の初となるテレビアニメーション『百獣の王子サム』の制作が進んでいき、スケジュールの無い中でキャラクターを出来るだけ動かさず、どのように表現していくかを模索していく様が描かれました。
一方、劇団「赤い星座」でも新公演『かもめ』が行なわれることになり、雪次郎は主役に抜擢されます。そこでも、アニメーションと同じように動きではなく、止まったままでも存在感を表わすようは演技が求めらる雪次郎。アニメーションも演劇も、表現することで変わりはないようです。
第100話「昼ドラな雪次郎くん」
第100話では、雪次郎君が主役を務めた演劇『かもめ』の公演が行なわれました。なつを始めとして、茜ちゃんとイッキュウさんも観劇にやってきます。劇の内容はドラマでは割愛され、オープニングが明けたら劇は終わっています。皆絶賛し、雪次郎くんが一人前の役者になったことが伝わってきます。そして、雪次郎くんは亀山蘭子さんから打ち上げをしようと家に誘われます。2人きりで、しっぽり打ち上げをすることになるわけですが、そこで雪次郎くんは蘭子さんに「好きです」と告白をするのでした。まるで昼ドラのような展開。果たして雪次郎くんの想いはどうなるのか!?
第101話「雪次郎くんの失恋」
第101話では、告白終わりの前回に引き続き、雪次郎くんが思いの丈を蘭子さんにぶつけます。雪次郎くんは、今回の公演の前に舞台をやめていった人たちから、新しい劇団に誘われていたけれど断り、蘭子さんと一緒に芝居をしていきたいと告げます。
しかし、蘭子さんは「あなたは勘違いしている」と表情は一変。「ダメ出しするためにここに呼んだ。新しい劇団に行きなさい」と激怒し、追い返します。
意気消沈した雪次郎くんは、「風車」に行って自棄酒で酔いつぶれます。翌朝、事情をなつに話していると、亜矢美さんが登場し、「それはウソをついたんじゃないか。新しい劇団に行かせようとしてるんじゃないか」と蘭子さんの演技を見破ります。
もうすっかり主役のような雪次郎くん。「赤い星座」に残るのか、新たな劇団に移るのか、決断のときが迫ります。
ちなみに、蘭子さんの表情って、雪次郎が告白し始めて演劇に誘われたことを言う前と後で、えらい違うんですよね。女性の顔から、役者の先輩になるというか。鈴木杏樹さんの名演技が光っていました。
第102話「テレビアニメの創意工夫」
第102話で、ついになつたちが作っていた東洋動画の初となるテレビアニメーション『百獣の王子サム』が放映されました。オープニングアニメーションは、もうまさに『狼少年ケン』という感じ。ケンよりも、サムのほうが可愛いキャラしてますけどね。
毎週放送するテレビアニメということで、限られたスケジュールの中で創意工夫をして作画をしていく様子が描かれました。乱闘シーンで土煙が吹きあがったり、パンチを食らったときなどに画面いっぱいに星が広がったりするシーンは、作画の手間をはぶく役割に加えて、子供たちに暴力を見せないという意味合いもあるようです。これは、実在した当時のアニメーターたちの想いのようなものが伝わってきて、ちょっと胸が熱くなりましたね。
一方、雪次郎くんのほうは、なんと北海道に戻ってしまいました。雪月に帰った雪次郎くんは、演劇を辞めたことを家族に伝えます。これからは雪月で働きながら、よっちゃんや番長と一緒に地元の青年団で演劇を続けていくんでしょうか。
連続テレビ小説 なつぞら Part2 連続テレビ小説『なつぞら』、番組後半を徹底ガイド |