海がきこえる

スタジオジブリの若手スタッフを中心に据えて作られた『海がきこえる』という作品があります。
劇場映画ではなくテレビアニメーションとして制作され、1993年5月5日に日本テレビ開局40周年記念番組として放送されました。
現在ではベテランとなった近藤勝也さんが作画監督を務め、監督には望月智充さんがジブリ外から招聘された作品です。



劇場作品ではないため、知名度はそれほど高くありませんが、コアな根強いファンのついている作品です。まだ観ていない人は、ぜひ観てくださいね。
本作は、氷室冴子さんの同名小説を原作にしていて、「月刊アニメージュ」1990年2月号から1992年1月号にかけて連載。挿絵は、近藤勝也さんが描きました。

この小説『海がきこえる』は、大きく分けると“連載版”と“書籍版”が存在するのです。

連載されたものを基に、単行本と文庫本になっているのですが、書籍化の際に、挿絵の数が大幅に減っていますし、内容も加筆・編集されていることから若干違うものになっています。

『海がきこえる』単行本

海がきこえる
こちらは、1993年に書籍化された単行本の『海がきこえる』です。
現在では絶版となっていますが、おそらく古本屋でも簡単に見つけられると思います。
映画の内容は、この単行本の1巻をベースにしていますが、エンディングは若干の違いがあります。

2巻の『海がきこえるⅡ アイがあるから』は雑誌連載ではなく、氷室さんによる書き下ろし作品です。こちらも、近藤勝也さんによる挿絵が掲載されています。

『海がきこえる』文庫本

海がきこえる
1999年には、両巻とも文庫化されました。内容の変更はないのですが、時代の流れによって流行などにギャップが生じたため、セリフやヒット曲などが、当時の状況に合わせたものに変更されました。

『海がきこえる』連載版

海がきこえる
そして、こちらが「月刊アニメージュ」に連載されたものです。
単行本化の際に編集が加えられていて、杜崎拓と武藤里伽子が高知城の前でキスをするシーンや、拓と里伽子、松野と知沙が四万十川へ遊びに行くエピソードなどが省かれています。

この内容は、映像化もされていませんし、アニメージュの連載版でしか読むことができません。

アニメージュのバックナンバーは1990年のものなのでけっこう古いですが、現在でも地道に探せば入手可能だと思うので、古本屋巡りなどをして、集めてみては如何でしょうか。

連載版では、近藤さんのイラストが各ページごとに掲載されていて、贅沢な内容となっています。

海がきこえる

月刊アニメージュ『海がきこえる』連載号

第一部
1990年2月号 連載第1回 フェアウェルがいっぱい<上>
1990年3月号 連載第2回 フェアウェルがいっぱい<下>
1990年4月号 連載第3回 マン<上>
1990年5月号 連載第4回 マン<下>
1990年6月号 連載第5回 里伽子<上>
1990年7月号 連載第6回 里伽子<下>
1990年8月号 連載第7回 里伽子ふたたび<1>
1990年9月号 連載第8回 里伽子ふたたび<2>
1990年10月号 連載第9回 里伽子ふたたび<3>
1990年11月号 連載第10回 里伽子ふたたび<4>
1990年12月号 連載第11回 里伽子ふたたび<5>
1991年1月号 連載第12回 里伽子ふたたび<6>

第二部
1991年3月号 連載第13回 やさしい夜
1991年4月号 連載第14回 やさしい夜<二>
1991年5月号 連載第15回 やさしい夜<三>
1991年6月号 連載第16回 好き
1991年7月号 連載第17回 好き<2>
1991年8月号 連載第18回 好き<3>
1991年9月号 連載第19回 海がきこえる<1>
1991年10月号 連載第20回 海がきこえる<2>
1991年11月号 連載第21回 海がきこえる<3>
1991年12月号 連載第22回 海がきこえる<4>
1992年1月号 連載第23回 海がきこえる<5>

※1991年2月号は休載

アニメ版『海がきこえる』が好きな人は、ぜひ小説版も読んでみてください。
映画と同じような空気感で、物語を読み進めることができるはずです。

海がきこえる
徳間書店の文庫版『海がきこえる』

≫Amazonで詳細を見る
≫楽天で詳細を見る