『平成狸合戦ぽんぽこ』には三長老のタヌキが登場します。
四国の伝説の狸とされる六代目金長狸に、太三郎禿狸、隠神刑部が登場し、伝説にちなんだ神通力によって、妖怪大作戦などを披露します。
この三長老は、この映画だけの空想ではなくて、実際に四国に残っている伝説を引き継ぐかたちで描かれています。
金長狸
徳島県小松島でいう化け狸。阿波狸合戦の伝説で知られています。
津田浦の六右衛門という親分のもとで修業をしていたけれど、ふとしたことで六右衛門の怒りを買い、それをきっかけに徳島の狸たちは金長側と六右衛門側とに分かれて大戦争をはじめ、結果的には金長狸が勝利します。
しかし、金長狸は戦争で受けた刀傷が原因で死んでしまい、後に金長大明神として祀られるようになります。
阿波の狸のリーダー的な存在です。
太三郎狸
香川県高松市屋島に伝わる化け狸。伝説や民俗学に関する文献類では、「屋島の禿狸」と表記されます。
その昔、あるタヌキが矢傷で死にかけたところを平重盛に助けられ、恩義から平家の守護を誓っており、その子孫が太三郎狸とされています。
平家の滅亡後は、太三郎狸は屋島に住みつき、屋島に戦乱や凶事が起きそうなときは、いち早く屋島寺住職に知らせたといい、そうした経緯で太三郎狸は屋島寺の守護神となりました。その変化妙技は日本一と称され、やがて四国の狸の総大将の位にまで上り詰めています。
隠神刑部
愛媛県松山に伝わる化け狸。『証城寺の狸囃子』『分福茶釜』と並んで日本三大狸話の一つに数えられる『松山騒動八百八狸物語』に登場します。
隠神刑部は、久万山の古い岩屋に住み、松山城を守護し続けていたという化け狸であり、808匹の眷属の数から「八百八狸」とも呼ばれています。四国最高の神通力を持っていたとも伝えられます。
ジブリの教科書8 平成狸合戦ぽんぽこ 池澤夏樹、似鳥鶏らが作品の魅力を解き明かしつつスタッフの回顧録も収録 |