押井守監督が、下北沢のヴィレッジヴァンガードで行われた著書『友だちはいらない。』の発売記念イベントに出席し、個性的な友達論を語りました。“友達は本当に必要か?”をテーマに、自身の体験や日々の思索をインタビュー形式でつづった“友達論”。ジブリの鈴木敏夫プロデューサーとは、37年の付き合いがあるとし、その関係や、映画にまつわるエピソードも掲載されています。
仕事仲間はいても友達はいない、と言いきる押井監督。雑誌「TVブロス」で、これまで一緒に仕事をしてきた映画ライターの渡辺麻紀さんをインタビュアーにして、改めて人間関係について考察した対談形式の一冊です。
本書を出版した理由について、押井守監督は「普段から、ジブリや宮さんの悪口をさんざん言っても活字になったことがないけど、TVブロスの麻紀さんのインタビューだと、言ったことがほぼそのまんま載っちゃう。そういう面白い場所と、麻紀さんがガーガー言わなかったら出さなかった」と笑顔でコメント。
また、「仕事以外で人と会いたいという欲求がない。友達が必要かまじめに検討した結果、いらない。家族は関係性があからさまにハッキリしているが、“友達”となると、とたんにいかがわしくなる。世の中の9割は賛同しないと思うが…」と主張。
ツイッターやFacebookなどのSNSを一切やらないという押井監督は「やる意味がよく分からない。知らない人と言葉のやり取りをしたいとは思わない」と断言。「人とつながりたいという欲求がない。つながりたい人は寂しい人なのかなと想像する。知らない人に何かを発信するのは仕事だけで十分。僕は5年前まで携帯電話も使っていなかった。アドレスも5人くらいしか知らない」と言うと、「ネットなんていつ不通になってもおかしくない。結局、電気を使ってるんだから変電所にトマホークを1発撃ちこまれたら終わり。そういうぜい弱なものを根拠に生きたくないっていうのはありますよね」と語りました。
友だちはいらない。 “友だちはいいもの”という世間の価値観に振り回されて、自分の自由をつぶしていないか。数だけは多いSNSでの「つながり」で友情は育めるのか。本当に大切な人間関係とは何かを改めて問う一冊。 |