NHKの朝ドラ『なつぞら』アニメーション編の出演者は、それぞれ実在の人物がモデルとなっています。
公式なアナウンスはされていませんが、主人公・奥原なつのモデルが奥山玲子さんということは、発表当初から云われていました。その他の登場人物については、あまり情報が出てこなかったのですが、この度『なつぞら』出演者の発表により明らかになっています。
実は、奥山玲子さん以外にも、モデルになった人がいるのは、以前より某所にて小耳に挟んでいました。
森康二さん、大塚康生さん、高畑勲さん、宮崎駿さん、こちらの4名をモデルに登場するとのことでしたが、『なつぞら』公式サイトを見ると、もっと沢山の人が参考にされているようです。
そこで、この役柄の紹介文からモデルとなっていると思われる人物を推測して、登場人物に当てはめてみました。
確信はないですけど、おそらくこの面々ではないでしょうか。
森田桃代役は、本橋文枝さんや山田みよさんの可能性もあるかなと思ったんですけど、奥原なつの後輩っぽいので保田道世さんにしてあります。
小田部羊一さんが見当たらないですし、フィクションということで、1人の人物に複数人を参考にしたりすることもあるのかな?
奥原なつ/奥山玲子(広瀬すず)
役どころ:
昭和12(1937)年生まれ。両親を戦争で亡くし、兄妹と別れ、父の戦友・柴田剛男(たけお)に引き取られ、十勝に移り住む。剛男の義父・泰樹(たいじゅ)のもとで、牧場を手伝ううちに、持ち前の明るさを取り戻す。高校卒業後は上京し、草創期を迎えていたアニメーション業界に飛び込む。アニメーターとして、大自然の中で育まれたみずみずしい感性を発揮していく。
実際の奥山玲子:
昭和10年(1935)年10月26日生まれ。東北大学教育学部に入学するが途中で家出同然に東京へ。デザイン会社に入社するがうまくいかず叔父の紹介で東映動画へ臨時採用される。漫画やアニメに興味はなく「動画」と聞いて「童画」のことだと思ったという。東映動画長編第一作目『白蛇伝』に動画として参加。2007年肺炎のため死去。
大沢麻子/中村和子(貫地谷しほり)
役どころ:
美大を卒業後、東洋動画に入社したスゴ腕アニメーター。通称「マコ」。作画監督の仲をサポートし、現場をまとめる。クールに見えるが内面は熱く、誰に対しても物おじしない性格から、社内で孤立することも。なつにとっては厳しい先輩である。
実際の中村和子:
東映動画長編第一作『白蛇伝』より動画マンとして参加。通称「ワコ」。手塚治虫に気に入られ、虫プロへ移籍し『鉄腕アトム』『リボンの騎士』などの作画を担当。技術的蓄積がほとんど無かった虫プロ黎明期を支えた。
三村茜/大田朱美(渡辺麻友)
役どころ:
絵を描くのが大好きな、眼鏡をかけたおっとりとした女の子。漫画映画をよく知らず、東洋動画には見習いとして就職、次第にその面白さにひかれていく。なつと一緒に社内試験を受け、繊細な絵が評価され、なつより一足先に合格し、正式にアニメーターとなる。
実際の大田朱美:
アニメーターとして東映動画に入社。『白蛇伝』に参加。『太陽の王子ホルスの大冒険』では原画を手がける。1965年10月に宮崎駿と結婚。長男に宮﨑吾朗、二男に宮﨑敬介を儲ける。結婚後は、「宮崎朱美」名義を用いている。
森田桃代/保田道世(伊原六花)
役どころ:
通称「モモッチ」。高校卒業後、絵が好きという理由だけで、アニメーションのことは全く知らずに、東洋動画に入社する。セル画の彩色を担当しており、なつの親友となる。なつからアニメーションのおもしろさを教えられ、その魅力に取り付かれていく。
実際の保田道代:
通称「ヤッチン」。1958年に東映動画の仕上部門に入社。CMやテレビシリーズのトレースを手がける。組合活動を通じて高畑勲と宮崎駿の2人と知り合い、『太陽の王子 ホルスの大冒険』にトレースで参加。『風の谷のナウシカ』に参加して以来、スタジオジブリ作品のほとんどの色彩設計を担当した。
仲 努/森康二(井浦新)
役どころ:
東洋動画アニメーターのリーダー、日本初の長編アニメーションの作画監督として活躍。穏やかな物腰で人望が厚く、かわいいキャラクターデザイン、繊細な表現を得意とし、みんなから師と仰がれる。“漫画映画”に純真な思いを抱くなつを気に入り、“アニメーション”の世界に誘う。
実際の森康二:
東映動画に発足当初から参加し、作画部門において大工原章らとともに指導的な役割を果たす。アニメーション制作に対する真摯な姿勢と誠実な人柄により、大塚康生、高畑勲、小田部羊一、宮崎駿ら、数多くの後進に影響を与えてきた。動物などのかわいいキャラクターデザインを得意としている。『太陽の王子ホルスの大冒険』には原画マンとして参加する。
坂場一久/高畑勲(中川大志)
役どころ:
東洋動画所属の監督見習い。絵は描けないが、アニメの知識は人一倍多く、企画力に優れ、思いもよらないストーリーを考えつく。その一方で要領が悪く、無理難題を言って、アニメーターたちをいつも困らせる。なつも初めは苦手意識を感じるが・・・。
実際の高畑勲:
1959年、東映動画に入社。東映動画による演出助手公募の第一期生。自身で絵を描かないため、作画監督や美術監督を決めてから、スタッフの能力を活かした映画作りをしていく。『わんぱく王子の大蛇退治』で演出助手になり、テレビアニメ『狼少年ケン』で演出デビュー。大塚康生の推薦により、長編漫画映画『太陽の王子 ホルスの大冒険』の演出に抜擢される。
神地航也/宮崎駿(染谷将太)
役どころ:
抜群の画力で入社したなつの後輩アニメーター。好きなことについて話すと止まらない情熱的な性格で、坂場とはいつも息が合う。新人ながらも歯に衣着せぬ物言いで周囲を圧倒し、既成概念にとらわれない発想でアニメ表現を革新していく。
実際の宮崎駿:
幼少時は身体が弱かったため運動は苦手だったが、絵はずば抜けて上手かった。高校3年生のときに、日本初の長編カラーアニメーション『白蛇伝』を観てから、アニメーションの世界に興味を持つ。1963年に東映動画に入社。65年に、同僚の大田朱美と結婚。式の司会は大塚康生。
『太陽の王子 ホルスの大冒険』では原画・場面設計として参加し、抜群の才能を発揮する。
下山克己/大塚康生(川島明)
役どころ:
元警察官という異色の経歴を持つアニメーター。ひょうきんで明るい性格で周りを楽しませるのが大好き。その一方、ディズニーアニメを独自に分析して、新しい動画表現を研究するという努力家でもある。後輩の面倒見が良く、なつの優しい先輩。
実際の大塚康生:
アニメーターになる前に、厚生省麻薬取締官をしており銃を扱っていたことから銃器にも詳しい。東映動画第一期生で、日本のアニメーション創成期から活躍した。東映動画では、直属の上司として新入社員・宮崎駿の指導育成に当たった。『白蛇伝』には動画マンとして参加。『太陽の王子 ホルスの大冒険』では作画監督を務めている。
井戸原昇/大工原章(小手伸也)
役どころ:
仲とともに作画監督として、アニメーターたちをけん引するツートップのひとり。芸術家肌の仲とは対照的に、驚異的なスピードで上質な作画を仕上げる実務家肌。大柄な体格ながらも、繊細な心の持ち主で、個性派アニメーター集団をうまく束ねていく。
実際の大工原章:
日本のアニメーションの創生期に貢献した1人。『白蛇伝』には原画として参加。1950~70年代の東映動画製作のアニメショーン映画を支えた。
露木重彦/藪下泰司(木下ほうか)
役どころ:
東洋映画所属のベテラン映画監督。日本初の長編アニメーションの監督に起用されるものの、実写映画しか経験がなく、不慣れなアニメーションの世界に戸惑うばかり。アニメーターたちと時にぶつかり、時に協力して、プロジェクトの成功に尽力する。
実際の藪下泰司:
日本動画に入社し、後に吸収合併された東映動画の取締役兼製作部長となる。日本初のカラー長編アニメーション『白蛇伝』を監督。日本のアニメーション界の草分けとなる。後進の指導も精力的に行い、日本アニメーション界の土台を作った。
大杉満/大川博(角野卓造)
役どころ:
東洋動画の親会社・東洋映画社長。アニメーションに未来を感じ、東洋一のアニメスタジオを設立、日本初の長編アニメーション制作に取り組む。帯広の映画館で見た大杉社長からのメッセージ動画に、なつは心を動かされる。
実際の大川博:
1951年2月、東京映画配給(東映)社長に就任。1956年には、日動映画を買収し、同社を東映動画と改称。本格的なアニメーション制作に進出する。
連続テレビ小説『なつぞら』アニメーションチーム
題字/タイトルバック:刈谷仁美
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション時代考証:小田部羊一
アニメーション制作:ササユリ、東映アニメーション
日本のアニメーションを築いた人々 日本のアニメーションの創世記から現在までを歴史的に考察する上で多くの貴重な内容を掲載。 |