今月の3日に、NHKで放送された、「SWITCHインタビュー達人達“宮崎駿×半藤一利”」が、9月29日(日)16時から再放送されます。
昭和の語り手である、作家の半藤一利氏が、宮崎駿監督のアトリエを訪問して、スタジオジブリの声優論から、『トトロ』の誕生秘話などを語ります。
半藤が独自の視点で読み解く「宮崎版昭和史」とは? 今、昭和に向きあう意味とは? 宮崎監督を「久々に出会う天才」という半藤氏が、その創作の秘密に迫ります。



宮崎駿と半藤一利 語りつくした7時間

テレビ放映に収まりきらなかった対談が、『半藤一利と宮崎駿の 腰ぬけ愛国談義』として書籍化されています。
この本を読むと、テレビの対談がほんの一部なのがわかります。書籍では、映画『風立ちぬ』の話から、宮崎駿の子供時代、両親の話、堀越二郎と堀辰雄、これまでの日本について、そしてこれからの日本の行く末などが語られています。

実在した、堀越二郎と本庄季郎の話など、映画『風立ちぬ』を観た人には楽しめる内容となっています。
半藤さんは、本庄さんに会ったことがあるそうですよ。

書籍の内容を、一部抜粋します。

 

堀越二郎はある種の山師、本庄季郎は常識人

『風立ちぬ』堀越二郎と本条季郎

宮崎:
本庄季郎さん、この人も優秀な技術者でした。

半藤:
本庄さんは一式陸上攻撃機の設計者でしたね。

宮崎:
はい。あれはほんとにまん丸で、放物線を使わないんですよ。ですから生産性がきわめて高かった。じつは堀越二郎とは、あまり仲が良くなかったのですが、映画では親友にしてしまいました(笑)。

半藤:
ほう、仲良しにしましたか。

宮崎:
ええ。お互いの仕事について、一言も言い合っていない。だから仲良くないんだろうと思います。ものの考え方が全然違うんです。

半藤:
たしかに、陸攻と戦闘機では、全然違いますからね。

宮崎:
全然違います。二人ともぼくは好きなんですけどね。堀越さんは、太平洋戦争が始まったときには病気で寝ているんです。そのときに軍部から、零戦の翼を短くしてくれっていう要望が出て、それを、本庄さんが容れて翼の先を真っ直ぐ切っちゃったんですよ。

(略)

宮崎:
全然傾向が違いますけれども、堀越二郎と本庄季郎という人は二人とも日本を代表する飛行機設計家だったと思います。ものすごく合理的なのが本庄さんで、堀越さんはなんかとらえどころがなくて、そしてカリスマ性がありますね。

半藤:
堀越さんは山師ですよね、ある種の(笑)。そういうことを言っちゃいけないか。本庄季郎さんはまともな常識人じゃないかという気がした。

宮崎:
ええ、そうです。堀越さんは不思議なオーラを持っている人ですね。

半藤:
「カリスマ性とオーラがある人」というと、目の前にいる宮崎監督がそうですね。

半藤一利と宮崎駿の 腰ぬけ愛国談義
『崖の上のポニョ』ぶりの宮崎駿作品として話題を集める『風立ちぬ』の主人公は、ゼロ戦設計士・堀越二郎がモデル。世界の宮崎駿が書生となって、敬愛する半藤一利と語り下ろす。

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