先日、3月2日に三鷹市芸術文化センターで開催された「三鷹の森アニメフェスタ2019」の『若おかみは小学生!』特別上映・高坂希太郎監督トークショーに行ってまいりました。
この日は、調布でも鈴木敏夫さんの講演会があったので、どちらに行こうか迷ったんですけど、高坂さんのお話を聞く機会は少ないので、こちらを選びました。
高坂希太郎監督といえば、スタジオジブリの作画監督のイメージが強いでしょうか。
しかし、これまでも監督作品がございまして『茄子 アンダルシアの夏』と『茄子 スーツケースの渡り鳥』と名作を残しております。
『アンダルシアの夏』のときは、ジブリの若手による監督作品!みたいな触れ込みで宣伝が行なわれ、素晴らしい作品を作ったので、このまま監督になるのかと思っていたのですが、『スーツケースの渡り鳥』以来、11年も監督作品はご無沙汰となっておりました。
上映会は、小学生と中高年が入りまじるという、なんとも珍しい年齢の集まりとなりました。なんて幅広い層に届いているんでしょう。
そういえば、会場にはジブリで背景美術をやっている吉田昇さんもいらしてました。
スタジオジブリは妥協点が格段に高い
トークショーでは、司会の方に「ロードレースを舞台にした作品はもう作らないのか」と問われると、高坂監督は「世知辛いものがあるんですよ」と一言。多くは語りませんでしたが、充分伝わりますね。
話は高坂さんの生い立ちから語られて、お父さまが絵描きだったことが明かされました。子どもの頃から絵を描く環境にいたため、図工の授業は成績優秀だったのだとか。
子どものときに好きだったアニメは『宇宙戦艦ヤマト』に『機動戦士ガンダム』『銀河鉄道999』『未来少年コナン』などを見入っていたそうです。
アニメーションの世界には高校生のときに、アルバイトで入っていたといいます。そのままオープロダクションに入社されたんですね。
宮崎駿監督との出会いは、『風の谷のナウシカ』のとき。最初の頃は、かなり怖い思いもしたのだとか(笑)。
スタジオジブリと他のスタジオの違いを問われると、「刺激が多い」とのこと。絵に対する取り組み方や、表現の仕方、立ち位置が違っていて、妥協点が格段に高いと語ります。高坂さんは、ジブリ以外でも仕事をするため、そのときはジブリで吸収したものを発揮するというスタンスで仕事をされているのだとか。
『若おかみは小学生!』について
元々、監督志望ではなかったという高坂さん。本作『若おかみは小学生!』を監督することになったのも、友達の誘いだったため引き受けたのそうです。
本作の映画化にあたっては、原作の20巻ある中からどう切り取るか、その采配もすべて任されたそうで、どのように構成するか迷ったといいます。どこかのエピソードに焦点をあてて作ることも考えたそうですが、1人の少女の成長物語としてスポットをあてることで、映画として成立すると考え、1巻から始まり複数のエピソードを切り取って構成されたそうです。
この1人の少女の成長物語というところは、やはり宮崎駿監督の影響もあるのでしょうね。
ちなみに、本作の主人公・おっこが生活する旅館「春の屋」は、宮崎駿監督が紹介した京都の旅館「美山荘」がモデルとなっています。
キャラクターの絵柄については、児童文学のテイストに慣れていなかったため、描くのに苦戦したといいます。
当初は、自分の絵柄に変えて描くことも考えたそうです。しかし、本作を誰が観ることになるのかと考えたときに、原作ファンであり、テレビシリーズのファンが観ることになる。そう思い至り、原作の挿絵を描いた亜沙美さんの絵柄でいくことに決めたそうです。
ジブリファンとしては、高坂監督の絵柄で描いた『若おかみ』も観てみたかった気がしますね。
劇場版 若おかみは小学生! アートブック 劇場版『若おかみは小学生!』のメイキング素材を収録 |