森田宏幸監督の『猫の恩返し』が、「金曜ロードSHOW!」で放送されます。2013年1月以来、3年半ぶり。2回目の放送となります。
ということで、例によって例のごとく、テレビ放送に合わせまして、『猫の恩返し』の豆知識を集めてみました。
原作は、宮崎駿の要望で描かれた
原作の『バロン 猫の男爵』は、宮崎駿監督の要望で、アニメーション化を前提に柊あおいが描き下ろしたもの。
企画の発端は、テーマパークのイメージキャラクターと、20分ほどの短編を頼まれたジブリが、ストーリーを柊あおいに依頼したところから始まった。しかし、テーマパークの企画は立ち消えになり、映画だけ作られることになった。
宮崎駿に迫られ、監督を務めることになった森田宏幸
『猫の恩返し』の監督を決める際に、宮崎駿は若手に監督を登用させたいと考えており、当時ジブリ美術館の短編作品『コロの大さんぽ』の原画を担当していた森田宏幸に、原作漫画のラフ原稿を渡し、「これやる? やるって言いなさい。男の子らしく」と迫った。
『猫の恩返し』は、月島雫の創作物
『猫の恩返し』の物語は、『耳をすませば』の主人公・月島雫が書いた物語という設定のスピンオフ作品。
冒頭に登場するケーキ屋は実在する
冒頭に登場する、猫がケーキをくわえて来るお店は、東京・高円寺に実在するケーキ屋「mynt」がモデルとなっている。
『猫の恩返し』に登場したケーキ屋さん、「mynt」に行ってきた
大泉洋、安田顕、鈴井貴之が、ちょい役で声優出演している
左から、大泉洋は先生役、安田顕はクラスメイトの町田、鈴井貴之は猫のシェフ役で出演している。
ちなみに、『耳をすませば』で雫を演じた本名陽子は、チカ役として出演している。
ハルの通う学校には、庵野と貞本がいる
ロッカーには「庵野」と「貞本」の名前がある。が、しかし、「秀明」と「義行」かどうかはわからない。
雫とは対照的に描かれた、主人公・ハル
原作者の柊さんは、『耳をすませば』の主人公・雫を一所懸命がんばる子として描いたので、『猫の恩返し』では主人公のハルを意図的に気楽なキャラクターとして描いた。
このことに、森田監督も意見が合い「原作者と監督で一致点があったというのは、この作品にとって幸運なことだと思います」と語っている。
猫のムタは、プロレスラーのグレート・ムタが名前の由来?
原作者・柊あおいのインタビューにて、このように語られている。
柊:
私の中のムーンは自分が描いた『耳をすませば』に出てくる黒猫なので、呼び名を映画の中に出てきた「ムタ」という別の名前にしたんです。
――そのネーミングを考えられたのは?
柊:
宮崎さんですね。「プロレスラーに、グレート・ムタという強い人がいて……」というようなことを言っていましたから(笑)。
「猫の事務所」は入口で空間がゆがんでいる
「猫の事務所」の外観は小さいけれど、中に入ると広くなるのは、入り口で空間がゆがんでいるらしい。
森田宏幸監督のTwitterによって明かされている。
バロンの恋人の肖像画
猫の事務所の壁に、『耳をすませば』に登場したバロンの恋人・ルイーゼの肖像画が掛けられている。
原作だと「猫の国」は、死んだ猫が永遠に住む場所という設定がある
ペットを亡くした話にすると、テーマが重くなりすぎるという判断で、映画版では変更された。
ラストシーンで宮崎駿の助言があったが、採用されなかった
ラストのスカイダイビングのシーンで、宮崎駿は「バロン、好きよ!」と言わせるようアドバイスしていた。しかし、スタッフ一同引いてしまい、不採用となった。
森田監督は「宮崎アニメになっちゃうと。張り合うつもりはないんだけど共感できなかったんですよ」と語っている。だが、ハルの心の引っかかりを解放するという主旨は理解できたので「ひょっとして私たち、かっこいいかも!」というセリフが付け足された。
『猫の恩返し』ロマンアルバム フィルムストーリーでクライマックスまでを完全収録。森田監督・鈴木敏夫Pのインタビュー、初期設定資料からレイアウト、美術ボードまで充実のビジュアル資料を掲載。 |