ジブリ作品において、初めてCGが使用されたのは『もののけ姫』だと思っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、実際は『平成狸合戦ぽんぽこ』で初めて活用されているのです。どこで使われているかというと、図書館でおろくが若手タヌキに資料を見せながら講義をするシーンです。
本棚がたくさん並んだ図書館をカメラが横移動していくカットにおいて、CGが使われています。
アニメーションで背景動画の角度が変わっていく場合は、一つひとつ描かなければいけないため、もの凄く手間がかかってしまいます。
しかし、その労力の割には効果も薄いため、アニメーターにとっては報われない仕事になってしまいます。
高畑勲監督は、こういうことは機械に任せるべきと考え、本作でCGが使われることになったのです。
高畑監督の注文は「CGに見えないような自然な仕上げ」というもの。30秒ほどカメラが舐めるように横移動していくというシーンですが、当時の作業としてはかなり苦労されたようで、1993年7月から始めた作業が終了したのは、映画完成の数日前だったと言います。つまり、1年近い歳月がかかっていたのです。
この当時は、セルルックのCGというのはほとんど作られていなかったので、その先駆けとなりました。
ジブリの教科書8 平成狸合戦ぽんぽこ 池澤夏樹、似鳥鶏らが作品の魅力を解き明かしつつスタッフの回顧録も収録 |