『なつぞら』で、なつたちが作りあげた『白蛇姫』で声優を務めているのは、山寺宏一さんが演じる“豊富遊声”と、鈴木杏樹さんが演じる“亀山蘭子”の2人ですが、元ネタである『白蛇伝』では森繁久彌さんと宮城まり子さんの2人が声優を務めました。
現在は声優という職業が確立されていますが、この当時は俳優が漫画映画の声をあてるというのが一般的でした。
しかも、この作品、声優がたった2人だけなのです。つまり、この2人で複数人の役を演じなければなりません。
森繁さんは許仙(しゅうせん)と法海(ほっかい)という、まったく違う役柄を見事に演じ分け、さらにはブタやパンダなどの声も森繁さんの声色によって当てられました。
そして、宮城まり子さんもヒロイン白蛇の精・白娘(ぱいにゃん)と、魚の精・少青(しゃおちん)を演じています。
お二人とも、台本にないことをずいぶん喋ったといいます。
『白蛇伝』にはパンダのキャラクターが登場しますけど、この当時はまだパンダが日本に入ってくる前でほとんどの人が見たことのない状態。宮城まり子さんも、この生きものはなんなんだ?と思ったそうです。
5日間ほどでアフレコ作業は終わり、お二人とも楽しい仕事となったようです。
ちなみに、宮城さんはスタジオの制作現場にはよく行っていたそうで、そこでトレースや彩色作業を見学していて、1枚のセル画に1色だけ色を塗ったそうですよ。
白蛇伝 中国古来の伝説をもとに、白蛇の精と若者の恋を壮大なスケールで描いた日本初のカラー長編アニメ。 |