海外版の『風の谷のナウシカ』に黒歴史があることをご存知でしょうか。
まだ公開して間もないころ、当時のスタジオジブリは海外での配給権の扱いに慣れておらず、アメリカのニューワールド・ピクチャーズ社に配給権を売ってしまい、たいへんな改悪が行なわれていました。
アメリカでは『Warriors of the Wind(風の戦士たち)』というタイトルが付けられ、内容とは程遠いものになっています。
内容のほうは、オリジナルでは難解という理由から、116分だったものを95分に短縮され、腐海の浄化作用などの設定が削除。さらには、登場人物の名前まで変更されてしまい、「ナウシカ」は「ザンドラ姫」となっています。その後、改悪された内容のまま、ヨーロッパに二次輸出されることとなりました。
後に、権利をすべて取り戻し、2005年には改変されていない『ナウシカ』が海外でも発売されるわけですが、そのときに権利の取り戻しで尽力したのが、『風立ちぬ』でカストルプの声優をした、スティーブン・アルパートさんであったことが、鈴木敏夫プロデューサーから語られています。
また、アルパートさんが、ジブリを退社される際、宮崎駿監督から「ナウシカを取り戻してくれて、ありがとう」という色紙が贈られています。
アメリカ版『ナウシカ』
悪名高き海外版『ナウシカ』のパッケージはこちら。
なんなんでしょうか、このペガサスに乗った人と、ライトセーバーのような剣は。
まるで、スターウォーズみたい……。
オーストラリア版『ナウシカ』
ドイツ版『ナウシカ』